2009年11月09日

リスクマネジメント協会2009年度 秋季大会 報告 第2弾

リスクマネジメント協会2009年度秋季大会プログラムの中から、(株)帝国データバンク 情報部 昌木裕司氏の講演の一部をご紹介する。


テーマ:企業リスク“会社はこうして潰れていく”−倒産企業の事例分析−


倒産とは?
「企業経営が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」
と定義づけられ、以下の6つのケースに該当すると認められた場合を「倒産」という。但し、「倒産」は法律用語ではない。具体的には、下図に示す態様区分となる。

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倒産
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⊢ 法的整理
  ⊢ 再建型
   ⊢ 会社更生(会社更生法)
   ⊢ 民事再生(民事再生法)

  ⊢ 生産型
   ⊢ 破産(破産法)
   ⊢ 特別清算(会社法)

⊢ 私的整理
 ⊢ 銀行取引停止
 ⊢ 任意整理
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*再建型 “事業再生ADR”


最近の倒産の傾向について次に示す内容の説明があった。

1.不況型倒産が全体の80%(販売不振、輸出不振、業界不振、不良債権累積…)
2.コンプライアンス違反関連倒産の増加
  違反類型は「粉飾」、業種では「建設」がトップ
3.地域別の動向は、関東、中部、北陸、四国で前年比20%を超える
4.上場企業の倒産が急増し、'08年度は45件、建設・不動産が7割を占めた
5.すべての業種で増加傾向を示し、特にメーカー(自動車、電機、半導体関連の注目業界に広がる
6.'09年4月以降は、上場企業の倒産件数の減少、大型倒産の沈静化、景気動向の潮目に変化が


今後の景気の動向をはじめとする注目点について次の事を挙げている。

1.新政権下での経済対策の影響
2.地域金融機関の地場、中小零細企業に対する融資スタンス
     →“引当金”の増大で収支が悪化、疲弊している
3.「緊急保証制度」「セーフティネット貸付」等の中小企業対策の効果の持続
4.消費不振、価格競争激化による卸売、小売、サービス業への影響
     →デフレ効果による価格破壊
5.円高、需要減による下請メーカーの「メーカー減産関連倒産」の行方
6.市場縮小と供給過剰が深刻化する建設業の倒産動向



本題の倒産企業の事例分析については、次の一件を掲載する。

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株式会社アーバンコーポレーションの倒産について検証


・業種:不動産流動化事業、マンション分譲
・売上高:1324億7200万円(2008年3月期)

2008年8月 民事再生法の適用を申請 負債2558億円 
(新興デベロッパーの象徴企業の倒産)

・躍進を支えた不動産流動化事業であったが…、
・地上げ業務に反社会的勢力(暴力団の噂)が金融機関に融資のストップ
   →企業庁の柱であるコンプライアンスに係る案件:メガバンク
    のコンプライアンスリスクが原因
・BNPパリバとのスワップ契約による資金調達の不足
   →特約条項に株価連動(300億円が92億円に変動)
    *BNPパリバの不適正取引が後に露呈
      作為的な相場形成をし、約12億円の収益を得たことが発覚
      9月20日、日本証券業協会から“1億円の過怠金”と
      “日証協会員権の6ヶ月停止処分”さらに没収できな
      い不当利得の返還の要求をしている。
・監査法人の意見不表明 
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*新興デベロッパーは、米国サブプライムローンに端を発するが、融資機関からの資金調達が不可となり債務超過へと悪循環、逆スパイラルとなる。これらの新興デベロッパーの倒産の影響が、多額の不良債権となり不動産市況の悪化、建設業界不振へと波及していくのであった。


躍進していた企業が、つまらぬ不祥事や、金融の不正取引にまきこまれたり、リスクは身近に存在する。かつてない市場環境の中でリスクマネジメントは益々重要なことであると痛切に感じた講演であった。

(日本リスクマネジメント会員 リスクマネジメントプランナー仲田昌弘)
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2009年10月26日

首都高速中央環状線“大橋ジャンクション”見学会報告

去る10月1日、東京コンクリート診断士会主催のセミナー“首都高速中央環状線・大橋ジャンクション見学会”に参加しました。


この大橋地区は、私が会社へ向かう通勤途中です。
かれこれ2年程前に溯りますが突然大きなコンクリート構造物が現れ“何だ!”と驚かされました。調べてみると高速道路のジャンクションでした。日々刻々と変化して立ち上がってくるコンクリート構造物を外から眺めながら、どんな工事をしているのか興味津々でありました。

このコンクリート構造物は、再開発事業と街造りの中に道路が一体化されるため、多くのミッションを持ち、地域の住民の方々・目黒区・東京都・首都高速道路(株)の4者が取り組む「まち・みち・再開発一体型プロジェクト」です。
その概要図は次の通りです。

20091026-001.jpg
※大橋ジャンクションパンフレットより抜粋


その規模、大きさは下図の通りです。

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※大橋ジャンクションパンフレットより抜粋


工事事務所で簡単な説明を頂き、早速見学に構内へと向かいました。
外側のコンクリート外壁(写真1)とループ内側の状況(写真2)を見ながら、外階段を高速3号線への分岐点まで上り道路上に踏み入りました。路盤がかなり傾斜しているのに驚き!(縦断傾斜度は、11.5%とのことです)そして、分岐路は、用賀方向、渋谷方向に分岐し、鋼構造の橋桁へのジョイント箇所を見学。(写真3)外部に排気ガス、騒音が漏れないよう一体化するとのこと。

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写真1(外壁)


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写真2 (ループ内側)


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(写真3)分岐路


さらに、屋上へと上がり、プロジェクトの概要を聞く。
屋上緑化公園、店舗・事務所・住居兼用の2棟及び排気所(写真4・建設途中)の建設等…

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(写真4)排気所と1−1棟


それから、屋上(地上約35m)から一気に地下(地下約30m)まで移動。
新宿線のシールドトンネルを見学(写真5)。高度な土木技術を駆使して施工を行っている様子に感動である。(詳細は、首都高速道路(株)HPにて閲覧できるので割愛します。)

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(写真5)シールドトンネル


ループ部の工事の概要は、

【北側】
ニューマチックケーソン工法:鉄筋コンクリートの躯体を地上で構築し、躯体下部の作業室内部で掘削・排土を行い、主として自重により躯体を地中に沈める工法
 コンクリート工:約52,000
 鉄筋工    :約9,000トン

【南側】
 開削トンネル工
 コンクリート工:約74,000
 鉄筋工    :約13,000トン

これほどの大型部材のコンクリートであるにも拘わらず、亀裂(ひび割れ)が皆無に近い状況で施工されてることに、診断士会の皆一同が感心。

見学終了後の質疑応答での質問の回答は、材料は低熱セメントを使用し、適切な目地を設け丁寧に打設を行ったとのこと。特別な措置はない。ちなみに最大スパンは30mあるとのことでした。

コンクリートは打ち放しであるが耐久性は?との問いに、山の手トンネルも同様であるが、大きな換気所(最新技術のSPM除去装置、低濃度脱硝装置を配備)を設け、トンネル内の空気中に含まれるSPM(浮遊粒子状物質)を80%以上、二酸化窒素を90%以上の除去を行い、地上100m以上の上空に拡散排気をします。環境、メンテナンスへの配慮とコンクリートの中性化、汚れへの対応も兼ね備えている。従って、打ち放しコンクリートでも耐久性は十分であるとのことでした。

案内を頂いた方々は、経験豊富で最先端の技術を持ったプロの技術士、ビッグプロジェクトに取り組んでいる姿に感動しました。
また、道路も様々な観点(人間工学的な視野から心理的な面まで)から、安全で、安心して、速やかに走行できる配慮がなされていました。
日本の先端技術を垣間見た見学会でした。

新東産業(株) 仲田昌弘 東京コンクリート診断士会会員



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2009年10月19日

リスクマネジメント協会秋季大会2009報告

10月17日(土)、日本教育会館(東京)に於いて、リスクマネジメント協会秋季大会が開催された。
基調講演“消費者保護重視の監督官庁誕生”「消費者庁の業務と企業の新たなリスク」についてご紹介しよう。
講師は、ACE Consulting Inc. Executive Advisor 白井邦芳氏。


 ・衆議院選挙以前の消費者行政の状況と課題
 ・自民党「消費者庁構想」と民主党「消費者権利院構想」の違い
 ・マニフェスト比較
 ・民主党のマニフェストにおける消費者政策
 ・現消費者庁及び消費者委員会組織図
 ・現消費者行政のイメージ
 ・消費者庁関連3法の関係
 ・消費者庁が所管する関係法規
 ・参議院「消費者問題に関する特別委員会」附帯決議(2009年5月28日)
 ・消費者庁の今後
 ・何が変わる!? 例えば・・・
 ・顧客サービス質の業務の質の重要性


以上の内容で講演は進められた。
政権交代による影響は大きいとのことから、その違いを解りやすく解説。


9月1日に「消費者庁」が誕生した。しかし、政権交代により自民党の「日本を守る責任力」に対し、民主党の「国民の生活が第一」のマニフェストスローガンが、国民重視への政策転換であることから、消費者政策は企業にとってさらに厳しい環境になると予想される。

今までは、(1)消費者が被害を被った場合に司法が権利回復のための手段として十分に機能していない、(2)行政は消費者に代わって事業者の違法行為を是正したり、消費者の被害を救済する等の役割を果たしていない、のが消費者政策の現状であった。これらの課題を改善し、「消費者の権利を守り、安全を確保する」企業擁護から消費者保護の時代へ突入である。
民主党案は、内閣から独立した「消費者権利院」を設置し各省庁に対して強制調査や処分などの権限行使を勧告できる組織。
予算規模は約1,000億円、最大で一万人の組織を作り上げる。
ちなみに、自民党案では職員を200余名、設置関連費用182億円の概算要求であった。民主党の力の入れ具合が想像できよう。


「附帯決議」:抜粋

 ・消費者委員会は、個別具体的な事案に対して関係行政機関の長へ報告徴求、資料提出要求を行い、必要に応じて消費者や事業者等から直接、情報を得たり、資料提供を受け、その結果として「勧告」を行うことが可能である。
 ・消費者庁は、消費者事故等について、タスクフォースを活用することで、独自の調査を行うことがある。特に、事故原因の究明や再発防止策の迅速化が求められる事案については消費者庁がリーダーシップをもって関係省庁、特定行政庁、警察、消防に対して協力を要請し、自体の把握、沈静化を目的として積極的に活動する。
 ・消費者庁は、商品欠陥クレームに迅速に対応するために、商品検査機能を有する各機関の機能強化を図るとともに、必要があれば市場からの排除勧告を促し、また、加害者の財産から不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための措置を行う。また、父権訴訟や団体訴訟制度、課徴金制度等を検討、運用に向けた具体的施策を決定する。
 ※父権訴訟=行政が違法行為の差し止めを行い、消費者に代わって民事裁判を起こして賠償金を取り立てること。


これらの「附帯決議」の実行(法制化)が重要課題。この動向は企業にとって極めて重大となる。
消費者に影響を与える企業内情報の取る扱いが厳しくなると同時に、一方で顧客、取引先ばかりでなく、あらゆるステークホルダーからの情報が消費者庁に集められることにより、サプライズ的なバッシングや風評、信用毀損が発生するリスクが大きくなる。



何が変わる?
例えば・・・、

 コンプライアンス問題は、深刻な重大課題
  ・内部告発による偽装の発覚
  ・消費者庁の関与、立入検査
  ・消費者庁による排除勧告、消費者庁HPでの開示
  ・該当省庁からの改善命令
  ・該当省庁への改善報告書提出
  ・消費者庁から不当利益剥奪のための課徴金命令
  ・上場企業であれば株主代表訴訟提起
  ・株主総会は危機管理レベルに!

 PL事故リコール対応は、事業者の大幅コスト負担 (危害クレーム)
  ・国民生活センターによる苦情多発
  ・経済産業省からの問い合わせ・報告、消費者庁関与
  ・独立行政法人製品評価技術基盤機構からの問い合わせ・報告
  ・経済産業省によるリコール命令、新聞・TVでの告知
  ・消費者庁HPでの開示NITEでの開示
  ・消費者庁からの企業に対する事情聴取
  ・消費者庁より原因究明の専門官の派遣、調査結果を消費者庁HPで開示
  ・父権訴訟または団体訴訟制度により被害者救済

また、クレーマーがモンスター化したり、一般消費者がクレーマー化する懸念がある。すでにその兆候は顕在化してきている。
従って、消費者(顧客サービス)対策も企業にとっては重要なこととなる。


消費者保護政策は、企業にとって新たなリスクである。これまで以上のコンプライアンスの徹底、リスク管理が要求される時代となった。グローバル化の影響は、地場産業の中小、零細企業まで浸透しつつある。王道を逃避し、的確な対応を怠ると痛い目に遭うことになろう。

(日本リスクマネジメント会員 リスクマネジメントプランナー仲田昌弘)
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2009年10月05日

ナノコンスーパ施工事例紹介(試験結果)

前回ご紹介した通り、「ナノコンスーパ」紫外線10年に相当する試験を実施しましたのでデータをPDFファイルにて公開します。


ハイブリッド・エクスポウジャーシステムによる高速耐候性試験を実施しました。
キセノンランプを光源とする耐候性試験機に過酸化水素水の噴霧を組み合わせることによって非常に高い促進倍率を実現しています。
例えば、自動車用塗膜の耐候性は約100 倍の促進倍率(屋外曝露2年を約1週間)で評価できるものです。
ここでは、上記の試験体について、表2に示す試験条件(100 倍の促進倍率)で40 サイクル(920時間=約10 年の屋外曝露に相当)まで、促進耐候性試験を行い20 サイクルごとに透水試験を実施しました。

塗布量:200cc/u

報告書(PDF 214KB)

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2009年09月07日

収縮低減剤について

コンクリートの長さ変化(乾燥収縮)について、JASS5(日本建築学会)、コンクリート標準仕方書(土木学会)の改正から大きな関心事となっています。
乾燥収縮を低減させる為の様々な方法が開発されています。今回は、化学混和剤による収縮低減剤についてご紹介致します。
株式会社フローリック 開発部 因幡芳樹氏に寄稿お願い致しました。
 
お問い合せ先
 株式会社フローリック
 開発部 東日本技術センター 室長 因幡芳樹(イナバヨシキ)
 〒355-0002
 埼玉県東松山氏東平1551 
 TEL 0493-23-6746 FAX 0493-23-0740

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コンクリート構造物に発生するひび割れは、構造物の美観の低下に止まらず、耐久性の点からも大きな問題となっている。

ひび割れの発生原因は、コンクリートの体積変化(収縮や膨張)によるものや構造体に発生する応力、さらにその他の劣化による要因等があり、またこれらの要因が複合してひび割れを引き起こすことが多いとされる。
このような中、ひび割れの大きな要因のひとつであるコンクリートの乾燥収縮を低減させる混和剤が研究開発され上市されている。これらは、乾燥収縮低減効果を持つものとしており、混和剤の規格(JIS A 6204 コンクリート用化学混和剤)の中には収縮低減剤のカテゴリは無いものの、その効果が認められて数多くの物件に使用されている。


■収縮低減効果をもつ混和剤の種類

当社が販売している混和剤の中では、『ヒビガード』と『フローリックSF500SK』の二つには乾燥収縮低減効果がある。そこで、この二つの混和剤についての詳細を以下に紹介する。

1 コンクリート用耐久性改善剤〔乾燥収縮低減剤〕『ヒビガード

【主成分】
グリコールエーテル系誘導体(淡黄色の液状品)

【特徴】
ヒビガードは水の表面張力を低下させることによって、乾燥収縮の低減や中性化の抑制、透水性の低減、塩化物イオンの抑制作用を有している耐久性改善剤である。
主成分であるグリコールエーテル系誘導体の強力な消泡作用によって、フレッシュコンクリート中の空気を追い出し、これによってコンクリート組織が緻密となる。この効果によって、水密性が向上し、外部からの炭酸ガスや塩素イオン等の侵入を抑え、コンクリートの耐久性が向上する。
グリコールエーテル系誘導体は前述のように、水の表面張力を小さくするとともに、コンクリート硬化体の細孔量を減少させる。特に、2〜10nmの細孔量を減少させており、この効果によって乾燥収縮の低減効果を発揮する。
しかし、上記の効能により空気連行性が低下するため、実打設するコンクリートは空気量が少ないNonAEコンクリートとなるので注意が必要である。図1にヒビガードを使用した場合の長さ変化試験の結果を示す。

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図1 長さ変化試験



2 高性能AE減水剤・標準形I種 [収縮低減タイプ]『フローリックSF500SK

【主成分】
ポリカルボン酸系化合物とグリコールエーテル系誘導体

【特徴】
当社が独自に開発した乾燥収縮低減成分を配合した一液タイプの高性能AE減水剤で、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)に適合している。この混和剤は一般強度から水結合材比40%以下の高強度・高流動コンクリートの製造を可能にする。
通常の高性能AE減水剤を使用した場合のコンクリートのフレッシュ性状及び硬化性状を変えることなく、コンクリートの乾燥収縮を5%から15%程度まで低減することができる。乾燥収縮低減のメカニズムは、基本的にはヒビガードと同様に水の表面張力を低下させることによって乾燥収縮を低減させている。
しかし、この剤はヒビガードと違い、一剤によって高性能AE減水剤の効果と乾燥収縮低減効果が得られるようになっており、また空気連行性やフレッシュコンクリートの経時安定性も良好で大変使い勝手のよい混和剤である。
この剤を用いたコンクリートの長さ変化試験の結果を図2に、圧縮試験の結果を図3に示す。

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図2 長さ変化試験


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図3 圧縮強度試験


さらに、図4および図5にRC造10階建て共同住宅に適用した際のひび割れ発生量とひび割れ幅の分布を示す。ひび割れの本数、長さ、面積の低減やひび割れ幅の大きなひび割れの発生を抑制することが確認された。

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図4 SF500SKのひび割れ発生量の関係


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図5 SF500SKのひび割れ幅の分布(材齢21日)




■使用の現状

1 ヒビガード

発売から二十年以上が経ち、各所で使用頂いている。特に、超長期にわたって供用される宗教関係の施設等に多く使用されており、発売当初に使用頂いた構造物にはひび割れの発生が少なくなったとされている。

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写真1 ヒビガードを使用された物件


2 フローリックSF500SK

2008年に発売され、各方面よりお問い合わせを多数頂いている。土木学会示方書やJASS5が改正されたこともあり、乾燥収縮に対する対策が求められており、これを機に使用を検討されている事例が多く、いくつかの物件については既に実使用の実績がある。


■将来性

良質な社会資本としてのコンクリート構造物を後世に残すためにも、劣化の原因となるひび割れを最小限に抑えることは大切なことである。そのための方策を設計や施工において種々実施されており、さらに材料面から検討された場合に、乾燥収縮低減効果がある混和剤を使用することもひとつの方策である。
将来は、特に長期・超長期の使用が考えられるコンリート構造物には、これらの混和剤の使用が増えていくものと考えられる。ただし、これらの混和剤を添加することによりコンクリートの価格が上昇することは必定であることから、経済性と求められる性能との兼ね合いとなる場合が多くなるであろう。


これからも技術を向上させ、コンクリートの耐久性を向上させる混和剤の開発を進めて行きたいと考えている。(株式会社フローリック 開発部 因幡芳樹)
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2009年08月31日

ナノコンスーパ施工事例紹介

前回は、コンクリート表面含浸材についてご紹介しました。
引き続き、ナノテクノロジーを駆使した新商品”ナノコンスーパ”の試験施工事例を掲載したいと思います。
今回ご紹介する試験施工例は、施工後30年を経過したコンクリート壁を洗浄し、ナノコンスーパを塗布。その後、4年経過した状況を報告したものです。ナノコンスーパの防汚、防カビの効果が評価されました。(新東産業株式会社 仲田昌弘)

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施工現場名・・・某技術研究所
施工個所・・・某所
施工年月・・・平成17年10月
撮影日・・・平成20年6月、平成21年8月20日
塗布材料・・・ナノコンスーパ
塗布面積・・・一式
塗布目的・・・防汚、防カビ効果の観察


2005年(平成17年)10月に、研究所内のコンクリート壁を一部洗浄後、塗布箇所・未塗布箇所を定めて経年変化を観察した。
下記の写真は2008年(平成20年)6月中旬に撮影されたものである。
「洗浄+未塗布」と「洗浄+ナノコンスーパ塗布」部分を比較すると、3年弱という期間でどれだけ汚れが付着するのがわかる。

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平成21年8月20日撮影

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平成21年8月20日撮影


防汚効果・防カビ効果は顕著に維持されています。次回は「ナノコンスーパ」紫外線10年に相当する試験を実施しましたので、公開させて頂きます。


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2009年08月03日

ナノテクノロジーでコンクリートの保護・維持補修に驚異の効果!

2009年3月に行われた東京コンクリート診断士会の技術セミナー「コンクリート表面含浸材の現状と課題−清水建設(株)技術研究所(田中博一氏)」の講演を受けて、高機能の表面含浸材が開発され使用されていることを知りました。そして、実際に従来の撥水材に比べ優れた性能を有する材料に出会いました。今回はその商品=ナノコンスーパの紹介と表面含水材について3回シリーズで掲載します。

ナノコンスーパの超撥水力!
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従来品との撥水力比較
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動画でも性能をご覧いただけます。


1. 表面含浸材の基本(技術セミナーより抜粋)

☆表面含浸材とは?
コンクリート中に含浸し、コンクリート表層部の組織を改質して特殊機能(緻密化・撥水性・アルカリ性回復など…)を付与する材料

☆特徴として
・施工が容易でコストが安い
・コンクリートの外観を大きく変化させない
・維持管理しやすい(構造物表面を隠さない)
・再施工し易い
等が挙げられます。

☆表面含浸材の分類
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☆期待される効果は・・・
・劣化に対する抵抗性
  中性化、塩害、凍害、アルカリ骨材反応、摩耗
・水密性
  防水対策
・美観、景観
  落書き防止、排ガス付着防止、防塵、防かび、外観維持
・機能性
  脆弱部の強度回復

☆表面含浸材の評価(規格・基準)
土木学会:表面保護工法 設計施工指針(案)
日本建築学会:鉄筋コンクリート造建築物の耐久性調査・診断及び補修指針(案)・同解説
日本建築仕上材工業会規格:NSKS-0004
日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説 JASS8防水工事

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ナノコンスーパについて(vol.1)


【概要】

ナノコンスーパは特殊な製法により精製された高純度有機ケイ素化合物を主原料とするシリコーン系浸透性遮水・防水材です。

ナノコンスーパは素地に深く浸透して吸水防止層を形成してコンクリート内部を健康に保ち、また、コンクリート表面部分に超撥水層を形成することで外部からの水や劣化原因物質の進入を抑制します。ナノコンスーパの主成分はシロキサン結合を主骨格とし、科学的安定性や耐候性に優れていることから長期間に渡って効果が持続します。

従来型の塗膜を形成する撥水材の場合には、環境要因や経年変化による剥離や剥落等の問題が生じることがありましたが、ナノコンスーパはコンクリート内部に浸透するためこのような問題は生じません。また、コンクリート躯体の風合いを変えません。将来的に撥水・防水効果が減少した場合にも再塗装が極めて簡便な製品です。


【特長】

1.コンクリートの保護・維持補修に高い効果
コンクリート・セメント系素地に吸収性があり、雨水その他の浸水により劣化が進行するおそれのある構造物の撥水や保護材料として有効です。

2.微細なひび割れを自動充填
最大幅が0.3mm以下のクラック(ひび割れ)については、別途補修を行う必要はなく、ナノコンスーパを塗布することでひび割れの内部空隙を自動充填しひび割れの進行拡大を抑制します。
【注意】 クラックについては貫通クラックではないことが前提となります。幅が0.3mm以下のクラックであっても貫通クラックまたは貫通している可能性高いクラックの場合には必ず別途補修を行ってください。

3.高い浸透性
素地の内部に速やかに浸透します。壁面や天井面に用いても液垂れすることなく浸透します。また、素地の表面のみならず内部にも吸水防止層を形成するため、表面の外観は変化しません。

4.施工の容易さ
刷毛、ブラシ、ローラー、スプレーを用いて容易に施工できます。再塗装の際には既存の汚れを洗浄し再度同様に施工するだけでよく、前回施工箇所の除去作業等は不要です。

5.効果の持続性・耐候性
ナノコンスーパは化学的安定性が高いため環境温度や紫外線による影響を最小限に留め、効果が長期間持続します。


【効果】

ナノコンスーパはコンクリート構造物に関わる様々な問題を解決します。

防水、漏水止水
既に漏水が発生している箇所や打継面等の漏水が発生しやすい箇所に対してナノコンスーパを塗布(塗布量:200cc/u)することで、漏水止水が可能となります。同時に、外部からの水や劣化原因物質の進入を阻止するため、構造物全体の超寿命化にもつながります。
ナノコンスーパ乾燥直後から撥水性能が付与されます。最大限の撥水効果が発現するのは塗布してから1週間以降です。
ナノコンスーパを塗布することでひび割れの拡大進行が抑制されるため、0.3mm以下のヘアクラックついては別途補修を行う必要はありません。ただし、0.3mmよりも大きいひび割れについてはナノコンスーパを塗布する前に別途補修を行ってください。また、0.3mm以下のクラック幅であっても貫通クラックの場合には必ず別途補修を行ってください。

内部に滞留した湿気・余剰水の排出
ナノコンスーパを塗布すると、ナノコンスーパの成分が内部の余剰水と反応しコンクリート内部の空隙を充填します。この反応に加えて空隙が充填される結果として、素地内部に滞留している余剰な水分が外部に排出されます。

白華(エフロ)現象の防止・再発防止
既に白華現象が発生している素地に対する白華抑制にも非常に有効です。白華現象が生じている場合には、予め白華を除去してから塗布してください。(弊社の取扱製品に「ノール ナノコン22」という高機能エフロ除去剤があります)
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ひび割れ拡大抑制(アルカリ骨材反応など)
ナノコンスーパはアルカリ骨材反応や凍害などに起因する亀の甲状に発生したひび割れの補修に適しています。ひび割れの拡大、再発を予防します。

凍結融解抵抗性改善(凍害予防)
ナノコンスーパを塗布すると、コンクリート内部の空隙を充填し、外部からの水分供給を絶つことが可能となり、凍結融解抵抗性が大幅に改善されます。ナノコンスーパはマイナス20度までの低温環境においても施工可能です。
河川や海岸など水辺の構造物の維持補修においてナノコンスーパは効果を発揮します。

塩害抑制
ナノコンスーパがコンクリート表面直下に形成する超撥水層は塩化物イオンの侵入を強固に抑制します。そのため、沿岸・海岸構造物や融雪剤(塩化カルシウム)を散布する機会の多い寒冷地にあるコンクリート構造物を塩害から守り、コンクリート内部の鉄筋を塩化物イオンによる腐食から予防します。

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北海道沿岸部に設置された波消ブロック。塩害と凍結融解による劣化が著しい。消波ブロックの一部に試験的にナノコンスーパを塗布し、暴露試験を実施。
上記写真はナノコンスーパ塗布から2年強が経過した様子。

ナノコンスーパを塗布したブロックには依然として高い遮水効果が見られ、また海草などの付着物や汚れがないことがわかります。


中性化進行抑制(鉄筋の防錆)
中性化が進行した経年構造物に対してナノコンスーパを塗布すると、内部に浸透した成分が強アルカリ物質を生成しコンクリートを再アルカリ化します。コンクリートのアルカリ化を回復することで、内部鉄筋の表面の不動態被膜が維持され鉄筋の防錆効果が高まります。
素地のコンディションにもよりますが、ナノコンスーパは約50mmの深度まで浸透して効果を発揮します。中性化自体はコンクリートの強度に影響を与えませんが、中性化の進行に伴い内部鉄筋を保護している不動態皮膜が消失し鉄筋の腐食が進行します。
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光学顕微鏡で50倍に拡大。古いコンクリート試験体の表面は
まだらで劣化が進んでいる様子が分かる。
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ナノコンスーパを塗布したことで、表面にRSO2が形成され、
コンクリートが綿密になり全体が均一に白く見える。


防汚、防カビ、酸性雨からコンクリートを保護
ナノコンスーパは抗菌、抗カビ特性があり、高い防汚効果を発揮します。また、ナノコンスーパは乾燥後に不溶性の成分を形成するため従来アルカリ性であるコンクリートを酸性雨から守ります。

2005年(平成17年)10月に、研究所内のコンクリート壁を一部洗浄後、塗布箇所・未塗布箇所を定めて経年変化を観察した。下記の写真は2008年(平成20年)6月中旬に撮影されたものである。
「洗浄+未塗布」と「洗浄+ナノコンスーパ塗布」部分を比較すると、3年弱という期間でどれだけ汚れが付着するのがわかる。

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タイル目地の保護、経年劣化により釉薬が剥がれたタイル表面(ラスタータイルなど)の回復
タイル外壁にナノコンスーパを塗布すると、タイル目地に対して防水・遮水効果を与えるだけではなく、タイル目地から浸透し下地モルタルにも同様の効果をもたらします。
また、経年により表面の釉薬がはがれたラスタータイルに対して塗布するとコーティングのむらが目立たなくなり美観向上にも繋がります。


※この内容はPDF(371KB)でもご覧になれます。

ナノコンスーパに関するお問合せはお問合せフォームをご利用いただくか

新東産業株式会社 TEL:03-3585-6411 FAX:03-3585-6940
担当 仲田

までお願いいたします。
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2009年07月21日

コンクリート構造物の電気防食工法(エルガード工法)

前回に引き続き、コンクリートの耐久性向上(補修と抑制)に関して、コンクリート構造物の電気防食工法(エルガード工法)の後篇をお届けします。(新東産業株式会社 東京コンクリート診断士会正会員 仲田昌弘)

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「コンクリート構造物の電気防食技術とその適用事例」より

2.電気防食の施工例(PDF 875KB)



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2009年07月06日

コンクリート構造物の電気防食工法(エルガード工法)

今回は、コンクリートの耐久性向上(補修と抑制)に関して、コンクリート構造物の電気防食工法(エルガード工法)について連載いたします。
東京コンクリート診断士会の監査役でもあり、電気防食技術の第一人者でもある峰松敏和博士*にご紹介をお願いいたしました。
*住友大阪セメント株式会社 建材事業部 顧問(工学博士)


エルガード工法は、電気防食工法の普及を推進する”日本エルガード協会”を2001年に設立、国内に普及を図ってまいりました。
近年は、技術・施工・工法などコンクリートの耐久性、特に維持補修の長寿命化技術を目指し脚光を浴びております。

耐久性の設計方法、LCC(ライフサイクルコスト)積算等、多数の実績を得ております。
「コンクリート構造物の電気防食とその適用事例」を

1.電気防食技術の概要
2.電気防食の施工例

2回のシリーズにて連載いたします。
(新東産業株式会社 東京コンクリート診断士会正会員 仲田昌弘)

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「コンクリート構造物の電気防食技術とその適用事例」より

1.電気防食技術の概要(PDF 520KB)


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2009年06月15日

加速する消費者重視の動き

政局の混乱もあってのびのびになっていた消費者庁の設置が決まった。これまでの経済産業省、農林水産省、厚生労働省、金融庁、公正取引委員会等の各省庁がばらばらに所管していた消費者行政を一元的に担う組織のスタートは、旧来の産業保護・育成を主眼とする行政から、消費者保護重視への転換を意味する。同時に司法の場でも消費者保護の動きが強くなり{お客様第一主義}を謳いながら消費者の権利を軽んじてきた一部の企業はいま、重大なリスクに直面することになる。


日本の消費者政策はいま、大きな転換を迎えている。1962年、アメリカのケネディ大統領が「消費者の利益の保護に関する特別教書」を議会に提出し、消費者の4つの権利――安全である権利、知らされる権利、選択する権利、意見を述べる権利を提唱したのを機にアメリカ国内、世界の消費者保護が一気に進むことになった。

46年後の2007年1月、当時の福田康夫首相の「生活者・消費者が主役となる社会」の実現を掲げ、消費者庁発足の足がかりとなった。我が国の保護施策は、

1):60年代の高度成長の弊害としての環境破壊と消費者被害の発生、行政規制で事業者を規制して消費者を規制して消費者を守るハードロー(法令)
2):90年代には、製造物責任法、消費者契約法などが制定され、裁判・司法によって消費者が権利を行使
3):近年は、企業の社会的責任やコンプライアンス経営、自主行動基準といった、ソフトロー(法令以外に規範)に沿って消費者政策を推進

と推移してきた。

ときとして、事業者にとっては合法で、問題はないと判断したビジネスモデルであっても、現実に消費者の権利を大幅に損なうものは社会では許容されず、やがて法的にも認められなくなるという当然の理(ことわり)もある。企業が自主的に消費者の視点に立った経営を行うことで競合に差をつけ、市場における優位性を獲得して行くのが本来のあるべき姿であろう。


消費者指向経営とは、経済産業省がかって実施していた消費者志向優良企業等表彰制度では次の様な選考基準がある。

★ 経営方針として消費者志向重視の姿勢があらわれている
★ 消費者ニーズの把握が十部に行われている
★ 消費者啓発活動、商品等に関する消費者への情報提供が適切に行われている
★ 商品等の品質管理体制、品質保証体制が整っている
★ 地球温暖化の防止、リサイクルの推進等の環境対策に積極的に取り組むことにより、環境保全に対する消費者ニーズに的確に対応している
★ 消費者対応体制が整備され、かつ有効に機能している

当たり前のことばかりではあるが、高いレベルで実践しなくてはならないのは容易なことではない。安心・安全・信頼といった、時に空疎にも響きかねない言葉に安易に頼らない、しっかりした種、仕掛けのある経営のあり方を作らねばならない。


近年世間を騒がせた食品偽装や製品・性能偽装のほとんどが従業員の内部告発によって発覚している。監視体制が多様化し、中でも従業員は公益通報者保護制度によって強力な監視主体となっている。

消費者にさまざまな権利を与えることでモニタリングを促進し、事業者の行為を止める権限を民間に付与し、行政規制の民営化を図るものでもある。

こうした社会情勢を背景に、市場を利用した消費者政策の特徴のひとつに「消費者の不信を取り除けば需要は拡大する」。これまでは、事業者と消費者が、加害者対被害者という対立構図であった。しかし、不誠実で悪質な事業者が市場から退場すれば、誠実な事業と消費者の双方が得をする。ゼロサムの世界から、ウィン・ウィンの世界へのシフトである。

リフォーム詐欺が横行した際には、地域に密着した中小零細の工務店が大打撃を受けた。姉歯事件では、消費者の被害ももとより業界の損失も大きかった。昨年の溶融スラグ混入コンクリート事件も大きな影響を残している。

2009年3月のJIS A 5308「レディーミクストコンクリート」の改正は、まさに消費者行政の一貫であろう。環境施策、情報開示・提供、が主体となった改正内容となっている。


消費者と企業の両方が得をするウィン・ウィンの関係を成立させるためにサプライサイドである企業が、消費者利益を重視した自主的な取り組みを行う必要があり、自主行動基準を定めてそれを遵守することが大切なことである。その基準の内容と遵守状況について消費者などによる第三者評価を受け、一方のデマンドサイドである消費者もそれを評価して購買行動に結びつけることで、良い企業、まじめな事業者を支援することになる。


法令遵守は最低限のライン、法令の精神を理解し、直接の適用範囲外の商品やサービス、取引形態にも対象を広げて取り組む「横出し」や、法令で定める以上の対応をする「上乗せ」を行えば、消費者の信頼を獲得し、競合との差別化や競争優位につなげていくことも可能である。


3月に「安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する円卓会議」が発足している。政府だけでは解決できない社会的課題に対して、事業者団体、消費者団体、労働組合、金融界、NPO、専門家、政府の7つのステークホルダーが協働し、相互にコミットすることによって解決にあたる新しい枠組である。

消費者と企業の関係が転換点を向かえたいま、コンプライアンス経営の意義を改めて理解し、仕組みを構築していくことが企業の生き残りをかけ重要なことである。


※リスクマネジメント「TODAY.Vol54」、特集“消費者志向経営が会社を強くする”より概要を記載しました。

(日本リスクマネジメント協会正会員 仲田昌弘)
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