2009年09月07日

収縮低減剤について

コンクリートの長さ変化(乾燥収縮)について、JASS5(日本建築学会)、コンクリート標準仕方書(土木学会)の改正から大きな関心事となっています。
乾燥収縮を低減させる為の様々な方法が開発されています。今回は、化学混和剤による収縮低減剤についてご紹介致します。
株式会社フローリック 開発部 因幡芳樹氏に寄稿お願い致しました。
 
お問い合せ先
 株式会社フローリック
 開発部 東日本技術センター 室長 因幡芳樹(イナバヨシキ)
 〒355-0002
 埼玉県東松山氏東平1551 
 TEL 0493-23-6746 FAX 0493-23-0740

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コンクリート構造物に発生するひび割れは、構造物の美観の低下に止まらず、耐久性の点からも大きな問題となっている。

ひび割れの発生原因は、コンクリートの体積変化(収縮や膨張)によるものや構造体に発生する応力、さらにその他の劣化による要因等があり、またこれらの要因が複合してひび割れを引き起こすことが多いとされる。
このような中、ひび割れの大きな要因のひとつであるコンクリートの乾燥収縮を低減させる混和剤が研究開発され上市されている。これらは、乾燥収縮低減効果を持つものとしており、混和剤の規格(JIS A 6204 コンクリート用化学混和剤)の中には収縮低減剤のカテゴリは無いものの、その効果が認められて数多くの物件に使用されている。


■収縮低減効果をもつ混和剤の種類

当社が販売している混和剤の中では、『ヒビガード』と『フローリックSF500SK』の二つには乾燥収縮低減効果がある。そこで、この二つの混和剤についての詳細を以下に紹介する。

1 コンクリート用耐久性改善剤〔乾燥収縮低減剤〕『ヒビガード

【主成分】
グリコールエーテル系誘導体(淡黄色の液状品)

【特徴】
ヒビガードは水の表面張力を低下させることによって、乾燥収縮の低減や中性化の抑制、透水性の低減、塩化物イオンの抑制作用を有している耐久性改善剤である。
主成分であるグリコールエーテル系誘導体の強力な消泡作用によって、フレッシュコンクリート中の空気を追い出し、これによってコンクリート組織が緻密となる。この効果によって、水密性が向上し、外部からの炭酸ガスや塩素イオン等の侵入を抑え、コンクリートの耐久性が向上する。
グリコールエーテル系誘導体は前述のように、水の表面張力を小さくするとともに、コンクリート硬化体の細孔量を減少させる。特に、2〜10nmの細孔量を減少させており、この効果によって乾燥収縮の低減効果を発揮する。
しかし、上記の効能により空気連行性が低下するため、実打設するコンクリートは空気量が少ないNonAEコンクリートとなるので注意が必要である。図1にヒビガードを使用した場合の長さ変化試験の結果を示す。

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図1 長さ変化試験



2 高性能AE減水剤・標準形I種 [収縮低減タイプ]『フローリックSF500SK

【主成分】
ポリカルボン酸系化合物とグリコールエーテル系誘導体

【特徴】
当社が独自に開発した乾燥収縮低減成分を配合した一液タイプの高性能AE減水剤で、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)に適合している。この混和剤は一般強度から水結合材比40%以下の高強度・高流動コンクリートの製造を可能にする。
通常の高性能AE減水剤を使用した場合のコンクリートのフレッシュ性状及び硬化性状を変えることなく、コンクリートの乾燥収縮を5%から15%程度まで低減することができる。乾燥収縮低減のメカニズムは、基本的にはヒビガードと同様に水の表面張力を低下させることによって乾燥収縮を低減させている。
しかし、この剤はヒビガードと違い、一剤によって高性能AE減水剤の効果と乾燥収縮低減効果が得られるようになっており、また空気連行性やフレッシュコンクリートの経時安定性も良好で大変使い勝手のよい混和剤である。
この剤を用いたコンクリートの長さ変化試験の結果を図2に、圧縮試験の結果を図3に示す。

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図2 長さ変化試験


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図3 圧縮強度試験


さらに、図4および図5にRC造10階建て共同住宅に適用した際のひび割れ発生量とひび割れ幅の分布を示す。ひび割れの本数、長さ、面積の低減やひび割れ幅の大きなひび割れの発生を抑制することが確認された。

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図4 SF500SKのひび割れ発生量の関係


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図5 SF500SKのひび割れ幅の分布(材齢21日)




■使用の現状

1 ヒビガード

発売から二十年以上が経ち、各所で使用頂いている。特に、超長期にわたって供用される宗教関係の施設等に多く使用されており、発売当初に使用頂いた構造物にはひび割れの発生が少なくなったとされている。

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写真1 ヒビガードを使用された物件


2 フローリックSF500SK

2008年に発売され、各方面よりお問い合わせを多数頂いている。土木学会示方書やJASS5が改正されたこともあり、乾燥収縮に対する対策が求められており、これを機に使用を検討されている事例が多く、いくつかの物件については既に実使用の実績がある。


■将来性

良質な社会資本としてのコンクリート構造物を後世に残すためにも、劣化の原因となるひび割れを最小限に抑えることは大切なことである。そのための方策を設計や施工において種々実施されており、さらに材料面から検討された場合に、乾燥収縮低減効果がある混和剤を使用することもひとつの方策である。
将来は、特に長期・超長期の使用が考えられるコンリート構造物には、これらの混和剤の使用が増えていくものと考えられる。ただし、これらの混和剤を添加することによりコンクリートの価格が上昇することは必定であることから、経済性と求められる性能との兼ね合いとなる場合が多くなるであろう。


これからも技術を向上させ、コンクリートの耐久性を向上させる混和剤の開発を進めて行きたいと考えている。(株式会社フローリック 開発部 因幡芳樹)
posted by 新東産業 at 09:00| 製品紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする