2010年07月20日

マスコンクリート用水和熱抑制剤 サーモセイバー

前回に引き続き、株式会社フローリックの新商品をご紹介します。
コンクリートの耐久性、恒久性までをも見据えて、ニーズにお応えした自信作です。コンクリートのひび割れは永遠のテーマと言われていましたが、化学の進歩とともに解決が見えてきている模様です。

----------------------------------------------------

はじめに
近年、コンクリートの高流動化、高強度化および高耐久性などの高性能化の技術の進歩は著しく変化している。その中からマスコンクリートの温度ひび割れを抑制する混和剤である水和熱抑制剤サーモセイバー」について紹介する。
サーモセイバーは、セメントの水和反応時に発生する水和熱を抑制し、コンクリートの温度上昇速度を低下させることが可能な混和剤である。放熱が期待できる部材や構造物においてはコンクリートの温度上昇量を低減させることも可能である。さらに、コンクリートの強度および耐久性に対して悪影響を及ぼさず、ひび割れの少ないマスコンクリートを実現することができる混和剤である。


(1)作用機構
サーモセイバーをコンクリートに添加すると、主成分である多価アルコール脂肪酸エステルがコンクリート中で長時間かけて徐々に加水分解して溶解し、セメント粒子表面や生成する水和物に吸着してセメントの水和反応を抑制する。しかし、セメントの液相中への溶解量が常に少ないため、溶解と吸着作用を繰り返しながら、セメントの水和反応の進行を停止させることなく、その水和反応速度を適度に低下させることができる。この作用により、水和反応速度を抑制して、コンクリートの温度上昇速度を低下させることができる混和剤である。

(2)性質
水和熱抑制剤の一般的性質は、表-1に示す通りである。

水和熱抑制剤
成 分多価アルコールと無機塩を含む
多価アルコール脂肪酸エステル
概 観白色粉末状
かさ密度0.46〜0.56
溶解性水に難溶

表-1サーモセイバーの一般的性質


主成分である多価アルコール脂肪酸エステルは水に難溶であり、アルカリ環境下において溶解する。溶解速度や溶解量は温度が高くなるほど、その活性が強くなる性質がある。

(3)断熱温度特性
図-1 に断熱温度上昇試験の結果を示す。
20100720-011.png
図-1 断熱温度上昇試験結果

20100720-002.png

無添加のコンクリートの場合は、水和の進行が経過日数1日で約30℃程度上昇しているのに対して、サーモセイバーを添加した場合は、凝結が遅れることなく緩やかに水和が進行し、経過日数1日でまだ10℃程度しか上昇していない。しかし、最終断熱温度上昇量は両者とも同じ温度上昇を示す。(式1)に示す断熱温度上昇特性式の傾きを表すα値は、図-2および表-2に示すように水和熱抑制の添加率の増加とともに小さくなっていく。

種別αβR2
無添加43.21.080.990.990
水和熱抑制剤43.10.321.540.992
      
表-2 断熱温度上昇特性値

20100720-003.png
図-2 添加率と断熱温度上昇速度との関係


(4)部材厚さと温度上昇低減効果
普通ポルトランドセメントを320kg/m3使用した部材寸法(0.5m〜4m角柱)と温度上昇改善効果の関係を図-4、図-5および表-3に示す(図-3は1m角柱の解析例)。
20100720-004.png
図-3 1m×1m×1m角柱の温度解析例

20100720-005.png
図-4 部材厚と温度上昇量の関係

20100720-006.png
図-5 部材寸法
※図をクリックすると拡大します


部材厚さが2m程度以下では、無添加と比較して約10℃程度、3mでは約5℃の温度上昇低減効果が認められるが、放熱のあまり期待できない4m以上となると温度上昇低減効果は低くなる。



寸法(m)0.50.7511.5234
無添加中心温度(℃)32.639.344.954.262.269.071.4
サーモセイバー中心温度(℃)24.828.833.342.452.564.369.6
温度差(℃)7.810.511.611.89.74.61.8
改善率(%)242726221672

表-3 部材寸法と温度上昇改善効果の関係


(5)硬化コンクリートの性状
図-6に圧縮強度試験結果を示す。
20100720-007.png
図-6 圧縮強度試験結果


材齢1日では、初期の水和速度が緩やかなため、強度発現が小さいが、材齢3日以降は、ほぼ無添加と同等の圧縮強度を示す。凍結融解抵抗性および長さ変化については、図-7および図-8に示すとおり無添加と同様の結果を示す。
20100720-008.png
図-7 凍結融解試験結果

20100720-009.png
図-8 長さ変化試験結果


おわりに
サーモセイバーは低発熱型のセメントや膨張材を使用することなく、混和剤によってマスコンクリートの温度ひび割れを抑制し、特に部材厚さが2m程度以下のマスコンクリートではその効果がより期待できる。

施工実績(国土交通省)
20100720-010.png
大橋上部工工事

20100720-012.png
樋門工事


商品に関するお問合せ
株式会社フローリック 技術本部技術部 まで


posted by 新東産業 at 09:00| 製品紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする