2012年03月02日

やっていい値上げ・駄目な値上げ

企業はいま、企業物価指数(企業間取り引きされるモノの値段の水準/燃料・原材料価格の高騰等がこれにあたります。)の上昇と強いデフレ圧力(消費者物価指数は、一部商品の値上げがあったものの、全体ではこの2年間下落し続けています。)の板挟みに苦しんでいます。
企業努力でコスト増を吸収し、何とかしのいできたところも限界に近づいています。いわゆる川上インフレ・川下デフレの状況にあります。この環境を脱却する妙薬があるのでしょうか?


需要が供給を上回る状況下ではマーケティングは不要で、価格設定に頭を悩ます必要はありません。戦後から高度成長期にかけては、いいモノをできるだけ安く、効率的に提供してさえいれば飛ぶように売れる時代でした。多くの企業は価格について真剣に考えずにきました。そのため価格は、3K(勘・度胸・経験)で決め、中長期的な戦略もないまま価格競争に参入したりといった、場当たり的な対応しているケースが少なくありませんでした。


資源価格高騰で食品業界が値上げをした2000年代を見てみると…

カゴメは2003年に価格競争で値崩れしていた「野菜生活」を立て直しプラン、値上げに踏み切りました。関係良好な地域の関係良好なローカルチェーンストアから始めて、徐々に値上げ幅と地域を広げ、最終的に平均30%の価格引き上げに成功したのです。
小売り説得の決め手となったのはデータに基づく分析です。POSデータからヘビーユーザーが多く、値上げしても需要への影響は小さいことが判明し、地域内の他の小売りチェーンも是正価格で販売していることを確認して推進していきました。実際に値上げ後も需要は減りませんでした。
ところが、2007年に2回目の値上げをしたときは失敗に終わりました。理由は競合商品が一度目の値上げのケースとは違い、全く追随しなかったことがあります。その結果、競合商品にスイッチするユーザーが増えてシェアーを落としてしまいました。
データに基づく科学的分析は有効であることがいえますが、競合他社の動向の見極めは重要であることの教訓であります。


シェアーが拮抗するなかでの対応は…

ライバルとは違う価値を提供すること。
味の素の「ほんだし」は、シェアー5割を越す主力商品でありながら適正価格が維持できずに赤字を出し続けていました。そこで原材料や製法を全面的に改良して商品のグレードアップを図った上で価格を引き上げることで成功を収めました。(競合が同様に価格競争に苦しんでいたため値上げに追随したこともあるが…)
相応の価値を持ちながら、それが買い手に十分伝わっていないケースも多々あります。何がその商品の本質的な価値なのかを明確にしたうえで、きっちり訴求していく。それができれば商品を大きく見直さなくとも、適正な価格で売ることが可能です。


産学協働プロジェクトの実験で興味深い結果が得られました。
深層心理を探るデプス・インタビューとネットを使ったモチベーション・リサーチ(動機調査)、テキスト・マイニングなどを焼き肉調味料について調べたところ、
二つの大きな問題が…

・焼き肉が続くと飽きる、食べ進むうちに飽きる、二つの「飽きる」
・お母さんたちから子供が肉ばかり食べて困るという不満

対策は、“たれに野菜を刻み込んで家庭の味を創る”でした。
価格はそのままで売上が一気に9倍に伸びました。新しい用途を生み出して訴求したことで高い付加価値がついたわけです。どんな商品にもポイントとなる部分があります。その周りを深堀していけば、いままでになかった価値が必ず見つかるはずです。


デフレ慣れした消費者の値上げ策は…

値上げを消費者に納得してもらうためには“大義名分”が必要!
2007年に人権費や店舗賃料の違いを理由に、地域特別価格制度を導入して値上げを実施したのがマクドナルドです。都市部と地方では賃金や地下の水準に開きがあるのに、同じ値段で売るのはおかしいという理屈は消費者にとって納得し易いモノでした。
値上げするときは段階的に少しずつ上げる方がリスクは軽減されます。わずかの差なら、人は心理的な痛みをさほど感じないものです。一度に大幅に引き上げられるとひどく損をした気分になります。価格を決めるときにはPSM(Price Sensitivity Meter:価格感度測定法)を用いて、どのくらいの価格範囲であれば消費者がその商品を受容するかを推計します。この受容価格範囲を超えて値上げをすれば、別のブランドに乗り換えるか、商品の購入を控えるか、ユーザーの消費意欲が変化します。


日本では未だ、価格について戦略的ではないようです。競争の激化とコスト増により、利益の確保が困難な時代、デフレでも不況でもきちんと利益を出せる価格を設定することが重要なことです。
大変なことと思われますが…  その価格が需要家に受け入れてもらえるような仕組みを考えてみてはいかかでしょう。


日本リスクマネジメント協会正会員 仲田昌弘
*TODAY vol.66 学習院大学経済学部教授 上田隆穂 掲載記事より紹介


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2011年11月04日

超過災害にリスクマネジメントの標準的手法は通用しない!

今回の地震は、発生確率は低いがひとたび発生すると甚大な被害をもたらすテールリスクであると言えよう。
ナレーシブ・タレブは、誰にも予想できないけれど、一度起きてしまえば非常に強い衝撃を与える現象を「ブラック・スワン」と呼び、人間にはあまりにも大きなランダム性は見えないと指摘している。タレブが指摘するのは金融危機や同時多発テロのような人為的なもので自然現象とは異なるが、今回の地震はあまりにもレアであるが故単純な確立論では計れないという点では同じである。

リスクマネジメントでは、発生確率にそれによる損失額を乗じて定量化を行うが、そうした手法は比較的高頻度で発生する事象には対処できても、ブラック・スワン的な超過災害(予め設定された防災計画の目標を超える規模の災害)には通用しない。損失額についてはある仮定の下で円単位で算出できるが、もう一方の発生確率については「えいやっ!」の世界になる。

このようなブラック・スワン的なリスクに対して、どう管理すべきか?
求められるのは計算力ではなく、想像力や国語力、交渉力、そして哲学であろう。定量的な手法から離れて、ブレーンストーミングやインタビューなどの定性的な手法を用いて、社会全体のコンセンサスをつくる必要がある。
環境やCSRに積極的に取り組んでいる企業を評価し、投資や消費活動につなげる動きが広がっているが、それと同時に巨大災害などがあっても事業を継承し、企業としての責任を果たす準備をしている企業を、社会全体で後押しする必要があろう。企業は、そのために積極的に情報を発信して、身の証を立てなければならない。
経済的に対応可能なところで線を引き、それを超える脅威についてはあり得ないこと、知らなかったこととして、「想定外」とすませてはいけない。自分や家族の命について、ここから先は想定外だから仕方がないと簡単にあきらめる人がどこにいるだろうか?
会社の存亡や従業員の生活を我が身そのものと考える経営者ならば、ここまでやって駄目ならあきらめようなどと、簡単に線引きしないであろう。「想定内」も「想定外」もなく、すべては連続してつながっている。聞きたくない情報に耳を貸さず、見たくないことを見ないのが、“失敗するための最大の秘訣”といわれる。
ありうるであろう不都合な事態から目を逸らさず、想像力をフルに働かせることが、超過災害に対処、生き残るための絶対条件であると…。


『巨大災害から目をそむけてはならない!』


*2007年に刊行されたナシーム・タブレの「ブラック・スワン」は、同年にサブプライムローンの問題が発覚し、翌年にはリーマン・ショック、世界同時不況が連鎖的に起きたことで、世界金融危機の予言書とも評され、ベストセラーになった。
その昔、ヨーロッパでは白鳥といえば白いものだと誰もが疑わなかった。ところがオーストラリア大陸で黒い白鳥が発見されたことにより、長い間の常識が一瞬にして覆されてしまった。この話からタブレは、ほとんどあり得ない事象、誰も予想しなかった事象のことをブラック・スワンと呼び、次ぎ3つの特徴をもつとした。

○予測不可能である
○非常に強いインパクトをもたらす
○いったん起きてしまうと、後知恵でいかにもそれらしい説明がなされ、最初からわかっていたような気にさせられたりする。
 
人間は何でも理論化し予測しようとする性質を持ち、またそれができると信じている。実際には人がかかわる社会経済現象の定量的予測は不可能だという。特に見えにくいとされるのが大きな変動で、見える部分は非線形グラフの一部であることがある。
一般にある事象・現象の確立を考える時「正規分布」を集団のバラツキと理論づけるが、近年の経済現象の多くは正規分布でなく「ベキ分布」に従っていることがわかっている。人間の血圧なら平均値の数百倍という値はあり得ないが、純資産額なら十分にある。例えば、サンプルのなかにビル・ゲイツやウオーレン・バフェットのような大富豪が1人でもいればグラフの裾野は大きな値の方向に長く伸びる。正規分布では起こりえないとされるが実際にはある程度の確立で起こる。「ロングテール」「ファットテール」と呼ばれる。

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多くの経済現象と同様に、地震の発生頻度とエネルギーはベキ分布の関係にあるという。今回のマグニチュード9の地震や大津波、さらには原発事故が本当に予測不可能だったのか、ブラック・スワンであったのか、様々な意見がある。ただ確かなことは、その存在があるということである。


日本リスクマネジメント“TODAY”より紹介
日本リスクマネジメント正会員 仲田昌弘


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2011年10月18日

防災から減災へ

土木学会は、地震発生から2週間後に調査団を被災地に派遣、4月初旬には早くも調査結果速報を発表した。副団長の東京大学大学院工学系研究科・家田仁教授は、従来のリスクマネジメントがテールリスク(発生確率は低いが、ひとたび発生すると甚大な被害をもたらすリスク/1000年に一度の地震…)から目をそらしてきた事実を指摘し、脱却するカギを語る。

“巨大災害から目をそむけてはならない”

津波によって市街地、農地、漁業施設等約500km3が浸水被害にあった。太平洋戦争の際の全国の都市の空襲による焼失面積が530km3、比喩がおもしろいが、大変な規模であることは想像できるであろう。その一方で、避難達成率は平均すると87%以上でおよそ4人に3人は避難できた計算になる。約2万8000人もの死者・行方不明者数は激甚といわざるをえないが、過去の災害を糧にこれまで営々と積み重ねたことが、全くの無力ではなかったともいえる。

例えば、鉄道や高速道路のコンクリート高架橋は阪神淡路大震災で壊滅的な被害を受けたが、設計法や補強法が大幅に改善された結果、今回の地震では1980年代に建設された東北新幹線でもすぐに補修・復旧できる範囲の損傷で済んでいる。ハード面の対策に加えて、避難路の確保や避難訓練などのソフト面での対策を連携し総合的に取り組んできたことも事実であり、多くの人の命を救った。人間が学習する生き物であることが証明され、ここに光明を見出すことが重要であろう。

既存のデータや防災施設の設計値を大きく上回る巨大災害が現実に起こりうることを目の当たりにした。ある水準までは被害を出さないようにする「防災」、それを超えた場合でも少なくとも人命が失われるような壊滅的な事態を生じさせない「減災」を図り、必要な策は講じるべきとのコンセンサスは形成されたと思う。
「減災」の基本にフェイルセイフ化(セイフ・トウー・フェイル)の考え方がある。誤操作や誤作動があっても、事態が悪い方向に行かないようにする設計方法で、巨大災害に対して全く被害を出さないようにするのは無理であっても、人的被害を出さず、早期復旧が可能な範囲に止めることは可能である。
「防災」を目標とする範囲を拡大すればするほどコストがかかる。例えば、1960年のチリ地震津波の規模までなら、被害を全く出さないような防潮堤を建設することは不可能ではない。ただし膨大な費用がかかり、高さ30m以上もあるような防潮堤を何キロにわたって建設するのは賢明な策とは思えない。
「防災」と「減災」の範囲をどう判断するか…。1934年にまとめられた昭和三陸地震の復興計画では、巨大津波対策は、防潮堤や防潮林の効果は限定的で根本的には集落の高所移動しか打つ手はないと書かれ、当時の技術の限界である。しかし、いまは科学技術環境も社会環境も飛躍的に進化している。津波予報装置もGPS津波計として実現、その警報を伝達するツールも普及、避難のための道路も整備されている。(機能が十分に活用できない状況も今回はあったが…)つまり77年前に比べれば、短時間で遠くまで避難できるようになっている。今回の復興計画では、最新の技術を駆使し、それぞれの地域の環境や生活習慣に則した防災施設と避難計画を立て、「防災・減災」の範囲を見極める必要があろう。

福島第一原発については、過去に専門家が869年に起きた貞観地震の解析結果をもとに耐震性に問題ありと指摘、国も東京電力もそれを無視したと報道された。不確かなものへの備えの必要性の判断は難しい。原発事故の後に“なぜ想定できなかった”“対処しておかなかった”と責める人の多くは、少し前まで「無駄削減」を謳う仕分け人に喝采を送っていたであろう。問題は、どれくらい熟察したうえで経済合理性の有無を判断するかということである。
岩手県普代村では、三陸津波の教訓を踏まえて整備された高さ15.5mの防潮水門と全長300mの防潮堤が村民の命を守った。おそらく、建設時には費用がかかりすぎる、過剰防衛だと避難されたであろう。そのおかげで今回は、住宅への被害もほとんどなかった。

人間の体には肺も腎臓も二つある。仕分け的に言えば無駄なのだろうが、予備があるからこそ助かる命がある。自然界に存在するものすべて、途方もなく長い時間をかけてサバイブしてきている。いま自分の目に見えること、理解できる事だけで浅薄に無駄と決めつければ大きな過ちを犯しかねない。企業が効率化を推し進めるのは当然であるが、その結果として危機に対する脆弱性が増すことも理解したい。

地震発生の2週間後の現地では、仙台の中心部でも大手資本のスーパーやコンビニは機能していない状況であった。一方、地元資本の小さなスーパーや商店は、四苦八苦しながら店を開け、地震発生直後の本当に困っている被災者を支援した。
それが一ヶ月くらいすると状況が変わり、大手が店を開け、資本とネットワークの力を生かした効率的な作業により地元の人々の普段の生活を取り戻す力になっていた。ローカルにも大手資本にもそれぞれ良いところ、強みがある。どちらか一方が欠けていたら、被災地の人々はさらに困難を強いられていたであろう。
さまざまな自然災害リスクにさらされている日本のような国では、効率性と安定性の両方が大事であることが浮き彫りになった。どちらも認め合う文化を育てていくことが重要である。

今回の地震はまさに、発生確率は低いが、ひとたび発生すると甚大な被害をもたらすテールリスクといえる。超過災害“ブラックスワン的リスク”にどのように向き合って行くのか…?
引き続き、次回その内容を記載いたします。


※記載内容は、リスクマネジメント“TODAY” ―「これからのリスクマネジメントの話をしよう」−から抜粋し、紹介したものです。

新東産業株式会社 仲田昌弘 日本リスクマネジメント協会正会員


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2011年06月08日

コトラーのマーケティング3.0 vol.2

前章でコトラーのマーケティング理論の進化過程について述べました。そして、マーケティング3.0は「消費者をマインドとハートと精神を持つ全人的存在ととらえ」、彼らの「一番深いところにある欲求、社会的・経済的・環境的公正さに対する欲求に、ミッションやビジョンや価値で対応する」ことであると説いています。
具体的には、次の3つのことを背景に論理しています。

マーケティング3.0を構成する3つのマーケティング
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1.参加の時代と協働マーケティング

モノを消費する人(消費者)とモノを作る人(生産者)が存在し、それぞれは立場が分かれていました。近年は、消費者はモノを単に消費するだけでなく、企業が行っていた活動に参加し、自らも価値を創り出すようになってきています。所謂、コンシューマ(消費者)に対して、プロシューマ(生産消費者)という概念です。これは、以前からも存在はしていました。

昨今はITの発展により、この企業活動に参画し易くなりました。例えば、商品の広告は企業が消費者に対して行うものであるものが、ネットを通じた“口コミ”は企業以外の人が独自の判断で行うものです。ネットで瞬時に拡散する“口コミ”のパワーは、企業独自の広報活動以上の力を発揮するケースもあります。このトレンドこそ、参加の時代を象徴するものであり、このような背景に「協働マーケティング」を必要とコトラーは論じています。
 
「協働マーケティング」では、顧客を消費者ととらえるのではなく、ともに価値を創造するパートナーと考えます。すなわち、企業とユーザーが協働で価値や経験を創造していく「共創」の時代といえます。そして、この「共創」を機能する場が必要となってきます。「コミュニティ」がそれに当たり、リアルなコミュニティとオンラインのコミュニティとが存在します。

“このコミュニティの中で、企業と顧客は共創することになり、企業自身が顧客と良好な関係を結ぶ人格を持たなければならない”これを「キャラクター化」とコトラーは呼び、あるコミュニティの中で、良好な「キャラクター」を持つ企業が、顧客と共創することができる。これが協働マーケティングに求められる姿と説いています。


2.グローバル化のパラドックスの時代と文化マーケティング

グローバル化は止まることがありません。そして多くのパラドックスをもたらしました。
例えば、日本の産業界(自動車や家電メーカー)は、海外へ進出することで日本国内に様々な空洞化現象を起こしました。“国内経済の停滞、雇用不安を招く”など、まさにグローバル化のパラドックスの典型といえます。

また、部族主義の台頭もグローバル化のパラドックスの一面とコトラーは説明しています。これは、国家や文化が曖昧になり、「自分はいったい何者なのか」と自分のアイデンティティやルーツを国家や地域のコミュニティを見出そうとします。同じルーツを持つ人々が固く結ばれ“部族主義化”現象が生じると論じています。グローバル化により世界がフラットになるのに抵抗するかの如くローカルな繋がりが強化されるのです。これもグローバル化のパラドックスの典型といえます。

このような背景において、「文化マーケティング」で対処せよとコトラーは主張しています。グローバル化のパラドックスの時代は、社会不安が渦巻いており、この不安の解消を国家のみならず、企業にも求めているとコトラーは読みます。

地域社会に対する責任を果たしたり、日本人としてのアイデンティティを目覚めさせたりする取組みを企業が推進することで人々から大きな支持を得られると指摘しています。
 これを促す活動が「文化マーケティング」と説いています。


3.クリエイティブ社会とスピリチュアル・マーケティング

経済の中心がクリエイティブ経済に移行しつつある社会を指します。この社会は、科学者、技術者、建築家、デザイナー、作家等、クリエイティビティを要求される階層の人々が経済の中枢を担うといわれています。(このような人々をクリエイティブ・クラスと呼ぶ)

クリエイティブ・クラスの特徴的な思考パターンがあり、「自分がしたいことをし、それで生活ができ、それに対して世間の人に評価してもらいたい」という自己実現欲求がが非常に強いという点です。このクラスの人々が大多数を占める社会では、「スピリチュアル・マーケティング」が欠かせないというのがコトラーの考え方です。

このクラスの人々の精神を揺り動かすマーケティングを「スピリチュアル・マーケティング」と呼び、社会的コーズ(大義)“貧困の撲滅、地球温暖化の抑止、核廃絶等といった世の中をよりよくするための社会的大義”に注目しています。

企業はこうした社会的コーズを掲げ、その大義を実現するために真摯に活動することで、クリエイティブ・クラスの精神を揺さぶるとコトラーは主張しています。



以上が3つの時代変化と背景、それに対応する3つのマーケティングです。
マーケティング3.0を推進するには、マーケティング2.0の中心に位置する“人のマインドやハートに訴えかけるマーケティング”思考をベースに組込むことが欠かせません。コトラーはこのことを下図の3iモデルと表現しています。

3iモデル
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※ビジネスリスクマネジメント4より抜粋



3.11から立ち直るためにも、日本の復興を考えるためにも、社会的コーズを掲げ、世界中の精神を揺さぶる活動を目指したいものです。
『マーケティング3.0』(2010年朝日新聞社)、一読してみてはいかがでしょう
 
日本リスクマネジメント協会正会員 仲田昌弘



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2011年05月16日

マーケティングの進化“コトラーのマーケティング3.0”

フィリップ・コトラー(アメリカ合衆国の経済学者、現代マーケティングの第一人者で、顧客のセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングを説くSTP理論や、マーケティングの4Pにpeople・processes・physical evidenceを加えた7P理論が有名)

マーケティング3.0は、対象物の進化過程を示すのに「Web1.0」や「Web2.0」の表現に準じて、マーケティングの進化過程が3.0レベルにきていることを示します。コトラーは現在に至るマーケティングの進化過程を3つの段階で説明しています。

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マーケティング1.0(戦前・戦後)

マーケティングは製品管理に焦点を合わせている。製品を規格化して大量生産し、規模の経済で価格を安くしてマス市場に売り込む。
コンセプトは4P(製品・価格・流通チャンネル・プロモーション)のミックスでマーケティングを推進する。“マーケティングミックス”

マーケティング2.0(1970年〜)
マーケティングは消費者志向がキーワード。
コンセプトはSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)が中心となる。
市場を細分化(セグメンテーション)し、標的市場を決めて(ターゲティング)、顧客にどう訴えるか(ポジショニング)の点を明確にして活動する。これにより、従来の戦術的な色合いの強かったマーケティングは、戦略的なマーケティングへと進化する。
さらに、ブランド戦略やカスタマー・リレーションシップ等、顧客と良好な関係をいかに構築するかが考慮されることになる。

マーケティング3.0(現代)
マーケティングは人間志向、価値主導へと移行する。
「消費者をマインドとハートと精神を持つ全人的存在ととらえ」、彼らの「一番深いところにある欲求、社会的・経済的・環境的公正さに対する欲求に、ミッションやビジョンや価値で対応する」ようなマーケティングである。

上述した流れを理解するにはその時代背景を知ることが必要である。その上で、この時代の変化に対応したマーケティングについて考えることが重要である。この時代の変化を3段階に指摘し、それぞれに対応した3つのマーケティングの必要性を説いている。
そして、この3つのマーケティングを総合的に展開して、人間の精神に訴えかけることであると考えていいであろう。それは、下記に示す項目である。
1.参加の時代と協働マーケティング
2.グローバル化のパラドックスの時代と文化マーケティング
3.クリエイティブ社会の時代とスピリチュアル・マーケティング

これらの各項目については、次回に詳しく解説することにします。
参考までに、以下にマーケティング3.0の十原則を記載します。
☆マーケティング3.0の十原則
 ・原則1 顧客を愛し、競争相手を敬う
 ・原則2 変化を敏感にとらえ、積極的な変化を
 ・原則3 評判を守り、何者であるかを明確に
 ・原則4 製品から最も便益を得られる顧客を狙う
 ・原則5 手頃なパッケージの製品を公正価格で提供する
 ・原則6 自社製品をいつでも入手できるように
 ・原則7 顧客を獲得し、つなぎとめ、成長させる
 ・原則8 事業はすべて「サービス業」である
 ・原則9 QCD(品質・コスト・納期)のビジネス・プロセス改善を
 ・原則10 情報を集め、知恵を使って最終決定を


日本リスクマネージメント協会正会員 仲田昌弘


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2010年09月13日

持続可能な企業を目指して“カーボン・オフセット”

『第一回カーボン・オフセットEXPO』が9月6日(月)に環境省の主催で開催されました。

環境省は、地球温暖化対策として重要なカーボン・オフセットを促進するための国内温室効果ガス排出削減・吸収量をオフセットに用いるクレジット(J-VER)を認証するオフセット・クレジット(J-VER)制度を創設、平成20年11月から開始しました。
平成22年8月現在で認証プロジェクト33件、21,761トン―CO2のクレジットを発行するに至っています。安定したJ-VERの供給が見込める段階に基盤が構築されてきたことを確信し、この制度をさらに普及促進する目的で本EXPOが開催されました。
会場が大きなスペースでなかったこともあるが、会場から溢れんばかりの来場者が在り、その関心度の高さに感動はしたが、課題に対する危機感を改めて認識せざるを得ませんでした。
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満員の会場


カーボン・オフセットとは、企業活動や商品製造等によって排出してしまう温室効果ガス排出量のうち、どうしても削減できない量の全部または一部を、他の場所での排出削減・吸収量でオフセット(埋め合わせ)することを言います。

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どうしても削減できない排出量を持つ企業が、商品の製造・使用に伴う温室効果ガス排出量に見合った温室効果ガス削減クレジットを調達し、この分のコストを商品に代替して温室効果ガスがオフセットされた商品として提供することが可能です。この仕組みを活用した商品・サービス・イベントを市民・企業・自治体等が主体的に地球温暖化対策に貢献する手段の一つとして注目しています。

例えば、
★郵便事業(株)
カーボン・オフセットはがきの寄附金配分事業を対象クレジットに
・事業者が¥5/枚、購入者が¥5/枚の寄附金の一部をCO2削減、あるいは吸収する事業に提供することでオフセットする。

★ワタミ(株)
国内環境活動支援
・カーボン・オフセット付カクテルの販売し、対象クレジットに様々な環境保全を実施し、持続可能な循環型社会の構築を目指す

★全日本空輸(株)
日本の森林再生
・「ANAカーボン・オフセットプログラム」に参加されたお客様の排出量を路線ごとに算出しオフセットする。オフセット分の料金は、日本の森を育て、地球温暖化防止に貢献する。

★西川リビング
快圧ふとん
・布団1枚につき14kgのCO2がオフセットされ、日本の排出量削減に貢献する。


カーボン・オフセットを導入することで
◆企業のイメージアップ
◆CSR活動の一環
◆商品価値向上・競合他社との差別化・新たな顧客層の創造
◆環境社会貢献、京都議定書で定められた日本の削減義務に貢献
◆新興国「CO2削減プロジェクト実施国」への間接的な支援
等の効果が期待できます。


“未来のために、私たちのできること” もう一度見直してみませんか…

新東産業は、高齢化が進む棚田農業の応援プロジェクト(地域活性化と環境保全)、スリランカの象さん保護基金と雇用創出のための象さんペーパー、象さん緑化マットの販売・支援、リサイクル燃料事業(エコ燃料製造販売/茨城県坂東市)使用済発泡スチロール、電線被覆材、食用廃油等を原料にリサイクル燃料を製造・販売の支援等に取り組んでいます。

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※ぞうさんペーパーの名刺


多くの方の支援が必要です。ご協力よろしくお願い申し上げます。
今夏の猛暑は、異常気象では済まされません。すぐそこまで危機は迫っていませんか?


日本リスクマネジメント協会正会員 仲田昌弘 
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2010年08月23日

リスクマネジメントの標準化

2004年6月にオーストラリアから自国の規格であるAS/NZS4360(リスクマネジメント)を国際規格化への提案がなされたが、すでに各国にリスクマネジメントに関する幾つかの規格が存在し、米国のCOSO・ERMはその代表格である。
翌年6月、リスクマネジメントの規格化がISO/TMB(技術管理評議会)で承認され、“ISO/TMB/WG on Risk Management”が設置され審議が始まった。
そして、2009年11月15日に国際規格として“ISO 31000:2009 Principles and guidelines(リスクマネジメントー原則及び指針)”が発行された。その概要を以下に紹介する。


◆ISO31000は、ISOの他の専門委員会との重複を避けるため、非常事態時対応や事業継承管理の分野を除く全ての組織、全てのリスクに適用可能なトップレベルの文書を目標としている。
全てのリスクを運用管理するための汎用的なプロセスとそのプロセスを効果的に運用するための枠組みが提供されていて、組織としてのリスクマネジメントの運営に必要な要素と各要素の有機的な関係が示されている。

◆ISO31000は、PDCAモデル 即ち計画(Plan)、実施(Do)、監視・評価(Check)、是正・改善(Act)に基づき、枠組みとリスクマネジメントプロセスの両方を継続的に改善していく体系が提示されている。

◆ISO31000は、リスクマネジメントに関するガイドラインであり、認証を目的としたものではないことを明記している。

◆ISO31000の中に使用されている29の用語を定義している。

※図をクリックすると拡大表示します。20100823-001.png


ISO31000のポイントは3点
・リスクマネジメントの原則を定義
・枠組み構築の中で、リーダーからの意思表示である「指令及びコミットメント」が重要
・リスクアセスメントに重点
ISO31010“リスクマネジメント―リスクアセスメント技法”リスクアセスメントを行う際に用いられる技法についての解説書(ブレインストーミング、チェックリスト、原因影響分析、多基準意思決定分析等、様々な技法の活用ポイントを記載)

以上、導入部だけ記載した。
どこの業界と限定しないが、現実にそぐわない規制や、できもしない規制は、不正、不祥事を生みだす根源ではないだろうか?
“本来のリスクは何なのか…、どこにあるのか…、どうすれば回避できるのか…、どう保証するのか…等々 消費者保護は勿論、拘わるステークホルダーの立場になって規制、規格を提起して欲しい。”と思うこの頃である。

日本リスクマネジメント協会正会員 仲田昌弘
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2010年06月28日

「スキルアップ」のリスクマネジメント編

定期購読している専門誌「Business Risk Management(ビジネスリスクマネジメント)2010年3月号」(発行:ビジネスリスク経営研究所)の特集に興味深い内容がありましたので、要約してご紹介したいと思います。


晴れ〜朝4時起き時間術〜晴れ


時計時間は作りだすもの 「朝型生活」のすすめ

スキルアップのため時間がとれそうもないと思っている方にお勧め。
早朝は他人に煩わされることがないので、自分の思うように使える。しかも、睡眠をとって疲労感が消え、頭の中もクリアになった状態で効率がアップする。
段取りを考える時間に当て、効率的に仕事をこなすことが可能となり、残業が減り、夜の時間が増える。
・・・このようにして朝4時起きを習慣化して勉強や趣味に費やす時間を作りだすことが「時間がない」を解決する方法です。

時計適正睡眠ラインを知る

「朝4時起き」を習慣化するためのノウハウは…
自分自身の睡眠時間を割り出す作業から始めます。睡眠時間を削ることでは継続的に実践することはできません。
1〜2週間ほど、90分単位で睡眠時間を増減させ、日中の体調や集中力を記録します。
例えば、4時間半、6時間、7時間半の3パターンを3日づつ試してみます。(90分単位は人間のレム睡眠とノンレム睡眠とを1単位として繰り返していることが解っています。)
身体の調子も良く、高い集中力を発揮できる睡眠ラインを「自身の適正睡眠ライン」見つける。

時計朝4時起きを仕組み化する

朝4時起きを実行するうえで有効なのは、寝る前に翌朝するべきタスクをリスト化することです。
朝目覚めたときに「まあいいか」と2度寝することなく「起きて片付けよう」という気持ちにします。

※仕組化するツールのお勧めは、最近話題のtwitter「おはようございます」とつぶやくのを日課とする。また、早起きの孤独の解消になり、プレッシャーにもなります。(ピアプレッシャー:他人と同調しなければという心理的圧力)早起きする動議づけです。


時計なんのために早起きをするのか

早起きの実践は、その人の意思の強さ次第。ノウハウはその意思をサポートする約割を果たすにすぎません。
早起き自体は最終的な目的ではありません。あくまでも手段であって、目的は多忙な生活からスキルアップの時間を作り、スキルアップをするための方法のひとつです。
「なんのために早起きするのか」という目的意識をはっきりしていることが、「朝4時起き」時間術のキーポイントです。
作り出された時間を豊かなものにしてくれるはずです。

原文:
「Business Risk Management 2010年3月号」(発行:ビジネスリスク経営研究所)
忙しいミドルマネジャーのための「朝4時起き」時間術
CONECTA 代表 池田 千恵(いけだ ちえ)氏


政府の地球温暖化防止のための国民的運動「チャレンジ25キャンペーン」のサイト(弊社もキャンペーンに参加しています!)に「朝型生活にチャレンジ“朝チャレ”」のコーナーがオープンしました。
辺見えみりさんからの応援メッセージも掲載されています。

この時期、早起きし易いので 是非お試しあれ! 


日本リスクマネージメント協会正会員 仲田昌弘
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2010年05月24日

社会的責任(Social Responsibility)とは

2010年内にISO26000“Guidance on Social Responsibility”が正式発行される予定です。
その内容が公開されました。

IOS26000では、社会的責任は企業だけに留まらず全ての組織が果たすべき責任であるとの観点から、CSRのCが無くなり「SR規格」となります。
先進国から途上国まで含めた国際的な場で議論され、規格化されたものとしてはほぼ唯一のものであります。
そして、この規格の特長は、認証制度を導入しない「ガイドライン」であることです。

その内容の一部をご紹介します。


◆CSRを改めSR

社会を構成する世界中のあらゆる組織に対して、社会的責任ある行動がより強く求められるようになってきています。特に企業では、組織に対する社会的な評価・評判や資金集め(SRI:社会的責任投資)に影響するまでに至り、CSR(Corporate Social Responsibility)が定着しました。
しかし現在では、様々な組織が持続可能な社会への貢献に責任があると考えられるようになってきました。企業だけではないとのことから、SR(Social Responsibility)となります。


◆社会的責任を果たすために(7つの原則)

社会的責任を果たすために何が必要か?
組織は何のために、何を基盤とし、何を軸として、何に視点を置き、どのように実施するか、といった「ガイドライン」を記載しています。
ここに、提示されている7つの原則を紹介します。

1.説明責任
   組織の活動により外部に与える影響を説明する。
2.透明性
   組織の意思決定や活動の透明性を保つ。
3.倫理的な行動
   公平性や誠実であることなど倫理感に基づいて行動する。
4.ステークホルダーの利害の尊重
   様々なステークホルダーがいることを尊重して対応する。
5.法の支配の尊重
   各国の法令を尊重し遵守する。
6.国際行動規範の尊重
   法律だけでなく国際的に通用している規範を尊重する。
7.人権の尊重
   重要かつ普遍的である人権を尊重する。

組織において基本とすべき重要な視点です。


◆ISO26000の構成

規格は100項を超える分量がありますが、ISO26000の概要図にあるように第1項から第7項と付属書で構成されています。
組織の中で社会的責任を実践していくための具体的な内容は、第6項が中心となり、ここで定められている中核主題が本書の中心となります。この7つの中核主題は、

組織の統治(ガバナンス)
   組織として有効な意思決定の仕組みを持つこと
   十分な組織統治は、社会的責任実現の土台
人権
   人権は個人だけでなく、組織として認識・行動すること
   直接人権侵害だけでなく、間接的な影響にも配慮・改善を
労働慣行
   基本的な労働関係であり、社会経済に大きな影響
   「労働は商品ではない」が基本原則
環境
   組織の規模に関わらず、環境への取組みを
   環境への影響が「わからないから取組まない」ではなく、
   「わからなくても、環境問題に取組む」の予防的アプローチ
公正な事業
   他の組織との係り合いにおいて、社会に対して責任ある
   倫理的行動をとる。 
消費者課題
   消費活動、製品、サービスが消費者に害を与えないこと
   製品・サービスを利用した消費者が環境被害など社会に
   悪影響を及ぼさない
コミュニティー参画・開発
   地域住民との対話から、教育・文化の向上、雇用の創出まで、
   幅広いコミュニティー貢献を

になります。それぞれの中核主題に対して複数の課題が設定されており、合計36個の課題となります。


◆ISO26000の導入メリット

ISO26000の導入メリットは次のことが挙げられます。

・社会の期待に反する行為(法令違反等)をすることにより、
 事業継承を困難にするようなリスクの回避
・書式の評判を高め、社会からの信頼を得ることができ、知名度、
 ブランドの向上が期待
・労働者の採用、定着、士気向上への効果が期待
・消費者のトラブル防止、削滅やその他ステークホルダーとの関係
 向上が期待
・資金調達の円滑化、販路拡大、安定的な原材料調達が期待
   

社会的責任を果たすために、これらの課題すべてに組織として同じレベルで対応しなければならないということはありません。それぞれの組織にはそれぞれの組織の社会的責任があります。それぞれの組織に見合った社会的責任を考えるヒントを提示することが本書の目的です。

※ISO/SR国内委員会「社会的責任規格ISO26000と実践事例」 http://iso26000jsa.or.jp/


日本リスクマネジメント協会正会員 仲田昌弘

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2010年02月01日

企業理念を核に信頼を築く・・・

“コンプライアンスでは会社は元気にならない!”
企業理念コンサルタントの武田先生は言う。


コンプライアンスが重要であることは周知のこと。コーポレートガバナンスの確立や法令遵守はして当たり前、企業として最低限満たさなければならない条件である。しかし、それだけでは社員のモチベーションはアップしない。

子供に危ないからあれはしてはだめ、これはしてはいけないとばかり言っていると萎縮して、自分から積極的に何かをしようという意欲が失われてしまうのと同じこと。

企業のコンプライアンス要綱をみると、禁止事項が並ぶ。どれも議論の余地無く正しいことであるが、それ以上のものではない。

そこで企業理念や行動指針を作成するプロセスに工夫をすることで、その内容を社内に浸透させることが大切であると説く。その鍵となるポイントは、


・上が決めたものを一方的に下ろさない
・現場を巻き込んで作り上げるボトムアップ
・結果(意見の反映の度合い)はともかく
・議論に参加、決定までの過程を見ること

 

双方のすり合わせをすることで、理念や指針に対する理解や共感の度合いは全く異なってくる。建設的な議論をし、一つの結論を導き出すというオープンで公正なプロセスが社員の会社に対する信頼を高めることにつながる。


労使間の古き良き時代は失われた。国外から「社畜」と呼ばれた盲目的な会社に対する献身は薄れた。会社とも上司や同僚とも精神的な距離を置き、冷静な目と社会の常識に照らした基準を持って、事の善し悪しを判断する社員が増えている。企業不祥事の多くが内部告発によって発覚しているのはその最たる表れである。

だからこそ、ポストや給与といった外的報酬に頼らず、企業理念や事業方針に対する理解や共感、仕事を通じて得られる誇りなどの「内的報酬」が重要と注目されている。それを遂行するには、


・同じ方向のベクトルを持つ
・トップが本気で言い続ける
・自ら率先して実行する


の3つのことで大切であるという。

今、企業理念の力を再評価し、企業理念を核に社内に信頼を築き、業績アップを図ろうとする企業が増えている。

(日本リスクマネージメント正会員 CRM 仲田昌弘)
 
  
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