2012年01月27日

各種ひび割れ対策(膨張材、収縮低減剤、繊維・プラスチックファイバー)の効果について

※東日本セメント製品工業組合・東生会 2010年度研修会報告より

ひび割れ対策として、膨張材、収縮低減剤、繊維(プラスチックファイバー)を挙げ、それらの効果について4種類のひび割れを対象として調査した。

ひび割れの種類と対策を下記に示す。

(1)ひび割れの種類
  1 沈下ひび割れ
  2 拘束収縮ひび割れ
  3 プラスチック収縮ひび割れ
  4 乾燥収縮ひずみ(長さ変化率)
(2)対策
  1 膨張材:デンカCSA#20電気化学工業(株)社製
  2 収縮低減剤:eSRA(収縮低減剤)グレースケミカルズ(株)社製
  3 繊維:グレースマイクロファイバーL=12mm グレースケミカルズ(株)社製

試験概要と結果の詳細は、PDF(報告書)を参照

試験結果のまとめ
各種ひび割れ対策の効果
対策沈下ひび割れ収縮ひび割れ
(拘束型)
プラスチック
収縮ひび割れ
乾燥収縮ひずみ
(長さ変化率)
膨張材
収縮低減剤
プラスティック
ファイバー

注)評価基準は、△が標準コンクリートと同等の評価とした。


上記の結果から、コンクリート材料によるひび割れ対策にあたっては、ひび割れの原因に応じて、適切な対策を選定する必要があることがわかる。


これらのデータ及び試験結果が、関係各位のひび割れ低減対策の参考になれば幸甚です。

新東産業(株)千葉営業所所長 藪田健太郎


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2011年12月02日

東京セメント建材組合主催 第9回組合研修会報告

11月3日、東京セメント建材協同組合会館1階会議室において、東京セメント建材組合 組合組織委員会 関口委員長主催による第9回組合研修会が開催されました。


今回の研修目的は、1.建築・土木業界の仕様、規格の改正等が施行されたこと、2.11月末に実施されるコンクリート技士及び主任技士(日本コンクリート工学協会資格)受験対策をふまえ、"コンクリートの基礎を学ぶ"こと、としました。

研修会の講師は、組合賛助会員である弊社 新東産業(株)が担当し、テーマは『I LOVE 生コン』
研修プログラムは以下の通りです。
 第一部(AM)座学2テーマ
   1."コンクリート好学" 基礎編T(講師担当:開発部 仲田昌弘)
   2."生コン発注の注意点" 仕様書、規格の改正対策(講師担当:営業部 田辺昭人)
 第二部(PM)実習
   1.生コンの検査
   2.様々なコンクリート(悪い生コン〜自己充填コンクリート迄etc.…)
   達成度確認とまとめ


午前9時、関口委員長より開会宣言のご挨拶があり研修が始まりました。出席者34名とスタッフで会場は大盛況!
まずは講師 仲田より、テーマ『I LOVE 生コン』は、3.11の痛ましい災害があったが、多くの人命をコンクリートが救ったことを改めて認識し、"コンクリートから人へ"から"コンクリートを愛す"と、そして「好きこそ物の上手なれ」の如く、本日はコンクリートを好学(好きになると好きに学ぶの意)しようと主旨説明。
続いての基礎編では、1.コンクリート材料とコンクリートの種類、2.コンクリートの硬化過程を時間軸にその性状と課題について、3.レディーミクストコンクリートの概要、4.コンクリートの外観性状(様々なトラブル現象)を学びました。

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第一部の様子


生コン発注の注意点では各種仕様・規格の改正点の説明がなされ、現状は新旧規格が混在する過渡期であるため設計の仕様の新旧を確認して対応することが必要であり、品質に関わること以外に現場の状況、納入状況など実務的な情報確認も重要なことであると出席者の方々から提唱があり、闊達な意見交換が行われました。


午前中は天気予報通り、快晴で穏やかな屋外実習日和だったこの日、午後になると程良い曇り空で当にコンクリート試験日和!
準備された会場で生コンを練り、コンクリート試験を実体験。

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第二部の様子


練られたコンクリートに流動化剤を混入して再度軟かいスランプにしたり、自己充填コンクリートを実感したり、混和剤の過剰添加による分離、塩化カルシウムを加えて過剰な塩分量の確認、コーラを混ぜて硬化不良(その後約1週間固まらなかった)、施工不良によるジャンカの再現等々…、様々なコンクリートを肌で感じました。

最後にまとめとして研修達成度の確認テストを実施し、研修会は『I LOVE 生コン』の熱い思いのまま終了しました。


実習の準備並びに進行に当たり、材料、試験器具等、ご提供、ご協力頂いた関口建材様、都屋建材様、グレースケミカルズ様に深く感謝申し上げます。




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2011年09月07日

東京セメント建材協同組合講習会「東京スカイツリーの施工について」

東京セメント建材協同組合が主催する講習会が「東京スカイツリーの施工について」という演題で行われました。
講師は田村達一氏(株式会社大林組・技術本部規格推進室副部長)、吉野誠一氏(東武タワースカイツリー株式会社・広報室宣伝部長)。
今や日本中の注目の的になっている“東京スカイツリー”、その内側にはどんなものが潜んでいるのか心躍り、講演を拝聴しました。


東京スカイツリー設計概要は次の通り

 名称:東京スカイツリー
 建設敷地:東京都墨田区押上一丁目、東武線操作上跡地
 敷地面積:36,900m2(タワー+東西街区)
 高さ:634m(ムサシ) 自立形電波塔では世界一の高さ
 構造:鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造
 基礎工法:場所打杭、地中連続壁杭
 着工:2008年7月
 竣工予定:2011年12月
 建築主:東武鉄道株式会社、東武タワースカイツリー株式会社
 設計・管理者:株式会社日建設計
 施工者:株式会社大林組


在京放送事業者6社(NHK・民放キー局)が600m級の新タワーを求めて、2003年に“タワー推進プロジェクト”がスタート。
墨田区・地元関係者が東武鉄道と協力して当地に誘致を要請し、2006年に新タワー建設地として最終決定された。
同年10月に、新タワーを核とした複合開発事業“Rising East project”のコンセプトを公表。
2008年7月に着工となる。
様々なミッションをもった「タワーのある街づくり」がスタートし、現在進行中である。


設計のコンセプトと構造技術の概要をご紹介しよう。

・タワーのかたち 三角△から円○へ
 スカイツリーの足元は一辺が約68mの正三角形。各頂点から上部へ伸び、
 地上50mのところで一つにつながり、600m以上の高さまで伸びていきます。
 縦横比は約9:1のスレンダーなタワーです。
 敷地が狭く、最大の一辺が確保できる形状から三角形になる。また、三角形
 は最小の部材数で安定した構造解を導くとのこと。
 展望ロビーは、360度を見渡せる配慮から円形を実現。
 低層部の三角から高層部の円へと変化するタワー形状になり、シルエットは
 伝統的日本建築の「そり」や「むくり」を表現する多様な表情となっている。
 
・特殊杭による基礎
 大林組が開発した地中連続壁工法に節を付けた“ナックル・ウオール”を採用。
 GL-50m節付き連続地中壁杭(鉄骨鉄筋コンクリート造)、節は特殊な掘削機械
 を用いて造作する。これがタワーの鉄骨3本に直結、力をダイレクトに伝達。
 大地から生えてきた大樹のように建っている。

・塔体の構造は「トラス構造」
 部材は「高強度鋼管」、標準的な鉄骨より約2倍の強度を有する鉄を使用。
 足元の鋼管は、直径2.3m、厚さ10cmと巨大なもの。
 主材、水平材、斜材からなる各部材を三角形上に接合した構造体骨組みで、
 各部材の接合は「分岐継手」と呼ばれる直接、溶接接合する手法を用いて
 いる。

・五重塔の様な制震構造
 中央部に鉄筋コンクリート造の円筒(いわゆる心柱)を設け、外周部の
 鉄骨造の塔体とを構造的に分離し、中央部の心柱上部を「重り」として
 機能させた、新しい制震システムを採用。
 原理は「質量付加機構」という現代の制震技術を応用したもので、大地震時
 に40%程度の応答せん断力を低減することが可能である。

・心柱
 直径8m、厚さ40cm、高さ385mの円筒状(空間は、階段室)
 設計基準強度54N/mm2、スランプフロー60cmの高強度コンクリートを用いて、スリ
 ップフォーム工法を採用。
 気温10℃の低温下においても、(1)高流動性を2時間保持、(2)6,5時間後
 の脱経時強度(0.1N/mm2)発現の性能が求められた。
 1回の打設は、高さ4m。
 コンクリートは、生コン車でコンクリートプラントから搬入される。
 現在も打設進行中であるとのことです。

・その他
 安全性を重視した施工管理(落下防止等…)
 気象状況への対応
 複雑な形状の鉄骨を精度良く組む(3次元計測管理)
 特殊仕様のタワークレーン(風対策、高層部では制震装置)
 アンテナ塔を引き上げる(ゲイン塔のリフトアップ工法)
 等々…

多くの人々の英知が集結、様々な工夫がなされ、最新技術を駆使し、安全に・確に・早く・製作されていく様子を聞くことができました。ところどころで関係者の方々の達成感に満ち溢れた笑顔の写真が素晴らしかったです。日本の技術の素晴らしさに感動しました。


※上記記載内容は、大林組(株)社サイト東京スカイツリー建設プロジェクト“作り方大公開”及び日建設計(株)社サイト東京スカイツリー設計プロジェクト構造技術の紹介から引用参考にさせて頂きました。もっと詳しく情報を得たい方はリンク先をご参照下さい。


新東産業(株)営業担当 仲田昌弘

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2011年06月28日

放射能よもやま話

東日本大震災に端を発した東京電力福島第一原子力発電所の事故(原発事故)は、コンクリート業界へもその多重被災(風評被害)の影響が及んでいる。
事故により周辺に飛散した放射線物質は、福島県に限らず首都圏各県の下水汚泥、下水汚泥焼却灰などから高濃度のレベルで検出された。これら下水の脱水汚泥及び脱水汚泥を焼却・溶融した物を再利用して生産するセメントからも最も高い放射能濃度で(セシウム-134:250ベクレル/kg、セシウム-137:250ベクレル/kg)が検出された。
これについて5月12日には、原子力災害対策本部から『福島県内の下水処理副次産物の当面の取り扱いに関する考え方について』の通知が発出された。以下にその概要を示す。

1.脱水汚泥、溶融炉のスラグ等に関しては、県内の下水処理場、管理型処分場等に仮置きし、モニタリングを実施することを基本とする。
2.脱水汚泥等を再利用して生産するセメントは、クリアランスレベル以下であることを確認する。
3.既に生産されたセメントによる影響については*別紙の通り安全性を確認した。
4.関係する事業所においては、電離放射線障害防止規則に基づき作業員の被ばく管理等を行う。
*出典/引用:(別紙)福島県内の下水処理により発生する脱水汚泥を再利用して生産されたセメントによる放射線の影響評価について(原子力災害対策本部、協力:独立行政法人 日本原子力研究開発機構)

平成22年11月付・文部科学省・放射線安全規制検討会クリアランス技術検討ワーキンググループによる「汚染したコンクリート等の再利用を想定したシナリオ及び被ばく経路の評価」を基に、放射性物質を含む脱水汚泥を再利用して生産されたセメントによる放射線の影響評価を行った。セメントを壁材として再利用した場合の居住者(子供)の外部被ばく経路による被ばく量が最大となる。


上記の評価条件による分析の結果は、セシウム-134の被ばく量が、230μシーベルト/年、セシウム-137の外部被ばく量が、130μシーベルト/年、合計の線量は360μシーベルト/年と評価される。これは、平常時に原子力施設が公衆に与える被ばく限度である1mシーベルト/年を下回るものである。しかも計算に用いた放射性物質の放射能濃度を3月11日以降に生産されたセメントの最大値の2倍相当にて算出評価したものである。従って、過去に計測された放射能濃度の2倍を仮定しても、放射性物質を含むことによる健康への影響が起こることは考えがたい。

日本人が自然界から浴びる放射線量は、1.5mシーベルト/年。年100mシーベルト以下の健康への影響は科学的に立証されていない点も多いとされている。


これを受けて各セメントメーカーは、製造するセメント製品の放射能濃度をクリアランスレベル以下に安定的に保持すべく品質管理について各社発表している。
例えば、

1.下水汚泥等の受入・使用の停止
  排出元である自治体の下水処理場との放射線濃度管理体制が整備されるまでの間、当面受入を停止する。
2.関連データの開示
  第三者機関によるセメント製品の放射能濃度の測定値
  セメント製品の放射線量自主測定値

等、放射能に関する品質管理に万全を期している。


【放射能簡単Q&A】

Q:放射能と放射線との違いは?
A:「放射能」とは、放射線を出す能力。「放射線」は放射性物質から出される物と出てくる物。「放射線」の種類は、電磁波(x線、γ線)と粒子線(α線、β線等)があります。

Q:外部被ばくと汚染との違いは? 
A:「外部被ばく」は、放射線が身体に当たり、身体を通り抜けること。被ばくによる健康問題は、放射線の量によって健康影響が決まります。
  「汚染」は、放射性物質が身体表面や物に付着している状態(身体表面汚染)。周囲に汚染拡大の可能性があるので持ち歩かず、排除(払い落としたり、洗ったりする)。健康に影響する量ではない。(創傷汚染)汚染された物質が傷口などに付着してしまう。
  「内部被ばく」は、放射性物質を含んだ物を体内に吸収(飲食や呼吸等)し、体の中から被ばくすること。外部被ばくより危険です。

Q:放射能・線の単位は?
A:ベクレル(Bq)・放射線を出す能力
    1Bqは、1秒間に1個の原子核が崩壊すること
  クーロン/kg(C/kg)・照射線量
    x線、γ線の強さとして空気がイオン化される程度を示す
  グレイ(Gy)・吸収線量
    放射線のエネルギーが物質にどれだけ吸収されたかを表す
    1Gyは、物質1kg当たり、1ジュールのエネルギー吸収がある線量
  シーベルト(Sv)・線量当量
    人が放射線を受けた時の影響の程度を表す
    SvはGyに線質係数をかけたもの


Q:放射線は本当に危ない?
A:私たちの周りに存在する様々な危険や健康阻害リスクを寿命の短縮に置き換えて比較すると
  
健康阻害リスク余命損失日数の平均
喫煙2208日
心臓病618日
肥満1412日
ガン1137日
脳卒中515日
自動車事故91日
飲酒77日
大気汚染26日
自然放射線12日
原子力産業0.012日


Q:放射線被ばくによるガン発生リスクは?
A:一般に100mシーベルトの放射線を浴びた場合、ガン発生にリスクは、0.5%高くなります。100mシーベルト以下による被ばくでは、統計的に有意なガンの増加は認められないとされています。

以上、関係各位からお問い合わせがありましたので参考までに掲載しました。

新東産業株式会社 開発部 仲田昌弘
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2011年02月10日

第6回 コンクリート材料 - 構造の最先端技術に関する研究会 報告 in 横浜国立大学

「発注者の役割・技術力」のセミナー報告


標記のセミナーは、昨年2010年12月21日、13:30〜17:30に開催された。
このセミナーは、横浜国立大学・コンクリート研究室、細田暁准教授が毎年“Initiative for Global Arts & Sciences グローバルな学術の共創”を標榜し、この業界に関わる学識者・研究者・学生及び社会人の英知と元気を共有して発展していこうという主旨のセミナーである。
今年のテーマは、「発注者の役割・技術力」で次の5題であった。(※ご講演者の敬称は略させて頂きます。ご容赦下さい。)

1.山口県のひび割れ抑制対策 ―発注者の技術力とひび割れ(山口県砂防課 二宮 純)
2.山口県のデータベースから考えるコンクリート構造物のひび割れ抑制対策(徳山工業専門学校 教授 田村 隆弘)
3.ひび割れ抑制対策と表層品質の向上(横浜国立大学 准教授 細田 暁)
4.地下鉄トンネルの維持管理の取り組み(東京地下鉄株式会社 公務部 山本 努)
5.青森県における橋梁アセットマネジメントの取り組み(青森県道路課 川村 宏行)


★1〜3題のひび割れ抑制対策は、山口県で実施されているひび割れ抑制対策についてまとめられた発表で、発注者の技術力とひび割れの関係を示唆し、ひび割れ抑制の目的を(1)耐久性・維持管理面、(2)構造物の信頼性、(3)工事の工程・コストに注目して試験施工をスタート。
そして、これらの内容をデータベース化し、公表・共有化することでひび割れの内容、状況等を判断し、適切な対応を前向きにしていくことでひび割れの少ない健全な構造物の建設が行われるに至った経緯・経過及び現状とこれからの課題について内容の濃いご講演であった。
(1)発注者・請負者の継続的な努力“コンクリート工事に携わった人々の意識改革”が大切
(2)ひび割れを発生させない技術はあるなかで“最も経済的な対策を見出す手法”を実用的な手法
(3)「良いものを未来に残す」建設技術者として価値ある仕事をした証(プライド)を残す。最近の山口県には良い構造物がたくさん出来ている。
・・・等とまとめ、その調査・検証報告が細田先生からなされた。


★地下鉄トンネルの維持管理の取り組みについては、東京メトロの土木構造物と維持管理体制についてのご講演であった。
供用後50年を経過する構造物の総延長キロは、約200kmに及びさらに10年後には50%が50歳を超える構造物となる。日本最古の銀座線トンネル診断への挑戦から始まり、あらゆるデータを採取、「維持管理編」に準拠して診断。耐荷性は3D解析評価(上床の疲労まで照査)を実施。
75年経ったトンネルでも、十分な補修でまだまだ元気!
工学的根拠のある客観的な判断
・社内・社外に高い説明責任を果たす
・明確な長期的投資判断が可能
等、確認ができたこと。
そして、維持管理情報の可視化・デジタル化を目指す。 
我々のミッションは、
・高度な工学的根拠を追求し、判断したい
・土木技術者だけでなく、事務部門、経営者、顧客、社会、株主…それぞれに納得して貰える説明責任を果たしたい
・後世にも認めてもらえるような長期的な視点でリスク明確化、予測・対策をしたい
・メトロトンネルオリジナルの知見を見出し、世界に発信することで貢献したい
・創造的、独創的に楽しく仕事をしたい
とのことだった。


★青森県における橋梁アセットマネジメントの取り組みは、
・橋梁アセットマネジメントの導入
・BMSを用いた橋梁長寿命化修繕計画の概要
・橋梁アセットマネジメントの実践
・産学官協同研究
の4点についてご講演があった。
青森県が管理する橋梁数(平成20年4月現在)は、橋長15m以上(779橋)、15m未満(1457橋)、横断歩道(25橋)の計2261橋である。今後老朽化が急速に増大。長寿命化及び修繕・架け替えに係わる費用の縮減を図ることが重要になってきた。(長寿命化修繕計画策定事業補助制度の創設)
アクションプラン(5箇年計画)により、平成20年のレポート及び22年までの速報があった。
 計画154億円に対し実績170億円(110%)の予定
 計画329橋に対し実績282橋(86%)の予定
とのことである。
今後、アセットマネジメントの実践は永続的な実施が求められる。
・データ蓄積による精度向上
・技術力向上のための研修会等の継続的実施(産学官協同研究他)
・可能なのはアウトソーシングにより実施(施工工法や計画予算)
・地域によるマネジメント
等の課題がある。


以上、熱い講演が最後まで続いた。
内容の詳細は、継続的に掲載を予定しています。お楽しみに…。

新東産業株式会社 東京コンクリート診断士会正会員 仲田昌弘


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2010年12月20日

東京コンクリート診断士会第5回技術見学会報告 Vol.4

地球温暖化の緩和策、再生可能エネルギーとして注目を浴びている風力発電。新潟県柏崎において、協同組合ニューエネルギーリサーチにより風力発電の実証実験を実施している“ぶんぶんカゼラ”を見学した。
海岸線の国道8号線から坂を登って「道の駅・風の丘米山」に到着。穏やかだった天気も雲が多くなり北風の強い状況に変わっていた。
タワーの高さ:35m、3枚の羽根の直径は42m、羽根が一番高いところでは56mの高さになるという。
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風力発電“ぶんぶんカゼラ”の概要


風力発電機は、風力4mから発電をすることが可能で、25m以上の強風が10分間以上継続すると停止する仕組みになっており、強風時の安全対策もなされている。尚風力4m以下の微風時でも風車は回るが発電はできないと。
風車のメーカーは、Vestas社(デンマーク)であり、世界各国で実績のあるもの。
定格出力は480kW、年間の推定発電量は70万kW(一般家庭の200軒分に相当)になる。
見学時は風が強く、風車の回る音(風を切る)がよく聞こえました。まさに“ぶんぶんカゼラ”でした。
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間近で見るとかなりの迫力です。(脚は綱製)
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1日目の見学場所“道の駅・てらす名立”の風車(Vestas社製)
(脚はコンクリート製)



NEDOの新エネルギー草の根支援事業補助金及び柏崎市補助金による支援を受けて稼働しているが、発電効率は悪く事業としては困難が多い。
風力発電の発電効率は約20%といわれているが、実情発電稼働日が述べ約50日程度。(水力発電が95%、太陽光発電は12%と言われる。)
また、最大の敵が雷。写真では見ることができないが、羽根のあちこちに黒い斑点があり、落雷の跡がある。故障と劣化の原因である。過去に落雷が原因でオーバーホールを行ったとのこと。そして、そのメンテナンス費用が多額にかかる。

・・・等、地球温暖化対策の石化燃料の代替エネルギーの道は険しい。
地球環境の保全、エネルギーセキュリティーの確保、実現可能なエネルギー源の探索は必要不可欠なこと。しかし、その実現の道は遠いか…と実感した。
4回にわたりご報告した「東京コンクリート診断士会第5回技術見学会報告」は今回で終わりです。

東京コンクリート診断士会正会員 仲田昌弘
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2010年12月13日

東京コンクリート診断士会第5回技術見学会報告 Vol.3

11月2日(火)2日目の見学場所は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所と風の丘・風力発電“ぶんぶんカゼラ”である。


昨夜の楽しかった懇親会の余韻を残しつつ、美味しい新潟米の朝ご飯をいただき、朝7時30分には宿泊地「くわどり湯ったり村」を出発。天気は昨日の荒れ模様とはうってかわってさわやかな快晴。

定刻よりやや遅れて柏崎刈羽原子力発電所サービスホールに到着。
場内見学に当たって、身分証明書を提示、確認を要する厳格な警備である。原子力発電所内には、バスからの見学に限定され、検問所ではやはり厳重なチェックを受ける。
場内には、各協力企業からの社員等7,000人余りの方々が従事している。やはり出入りは厳しいとのこと。
また、場内は生物多様性実験を兼ねた(放射線予防・影響)を検証する様々な実証実験がなされている。


柏崎刈羽原子力発電所
  世界最大の原子力発電所
  柏崎市と刈羽市にまたがる約420万m2(東京ドーム約90個分)の
  敷地に7基の原子炉。
  合計出力は821.2万kw、世界最大の原子力発電所としてギネス
  ブックに認定。
  ここで作られた電気は、東京電力管内で使用される電気の20%
  を占め、50万ボルト送電線により、山梨、沼津、神奈川方面へ
  送電される。

原子力発電所の建物内

  

原子力発電のしくみ
  原子炉内で直接蒸気を発生させる沸騰水型原子炉(BWR:Boiling
  Water Reactor)を採用。
  ウランが核分裂するときに発生する熱エネルギーによって、
  水を蒸気に変え、この蒸気でタービンを回し発電機で電気を
  作る。
  使い終わった蒸気は復水器で海水によって冷やされ(大量の水が
  必要なため、海岸に原子力発電所が設置される理由となっている)
  水に戻り、再び温められて原子炉へと戻っていく。
  
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原子炉圧力容器内の構造
放射性物質を閉じこめる壁
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厚さ190cmの鉄筋コンクリート製遮蔽壁
  
原子炉内の断面(上から見た模型・実物大で展示)
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燃料集合体
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燃料棒を約80本束ねてある。110万kW級では764体原子炉内にある。
  
原子炉内圧力容器
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厚さ16cmの鋼鉄製の容器、核分裂で発生する熱を取り出す装置。


新潟県中越沖地震後の様々な地震対策
地層に対する耐震対策
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耐震設計指針に基づき、発電所周辺の活断層(F-B断層、長岡
平野西縁断層帯)を評価し、基準値振動を策定

耐震対策例
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配管サポート、原子炉建家屋根トラス、排気筒、天井クレーン、
燃料取り替え機等設備の強化を実施し、安全性の向上を図る。




新潟県中越沖地震後、全原子炉稼働には至っていないが様々な対策を施し安全な設備、低炭素化時代(地球温暖化抑制)を目指したエネルギー資源として躍動している様子が窺えた。
ご案内いただいた東京電力社の方々に厚く御礼申し上げます。


日本海フィッシャーマンズ・ケープ内にて昼食後の、風の丘コレクションビレッジ風力発電施設見学報告については、次回Vol.4で報告予定。


東京コンクリート診断士会会員 仲田昌弘

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2010年12月06日

東京コンクリート診断士会第5回技術見学会報告 Vol.2

高田河川国道事務所管内には192橋のコンクリート橋が存在し、このうち134橋が海上部及び海岸線から700m以内の地域に設置されている。台風や冬季波浪の影響を直接受ける厳しい塩害環境下(波しぶきが直接橋にかかる状況)で、58橋が塩害による損傷が確認され、その中には損傷著しい橋梁が8橋存在しているとのことである。
平成21年度に特に塩害損傷の大きい4橋(筒石橋、能生大橋、両鬼橋、青梅跨線橋)の橋梁架替等の恒久対策を実施することになった。この内の能生大橋の劣化状況を見学することができた。
参考資料:4橋の所在地(PDF)


能生大橋の概要
 ・1966年竣工(橋齢44年)
 ・単純PCポステンT桁橋5連
 ・1等級橋
 ・設計活荷重 TL-20
 ・橋長 140.5m

塗装記録
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補修記録
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解体工事現場にて、劣化・損傷状況を確認

コンクリート床板の塩害・鉄筋の腐食
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コンクリート床板の塩害・疲労劣化
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橋脚のひび割れ
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橋桁のひび割れ
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塗装内部も塩害を受ける
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塩害・アルカリ骨材反応・凍害複合劣化
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コンクリート橋の塩害対策用暴露供試体を見学。
電気防食、塗料、塗装鉄筋、特殊コンクリート等種々の対策を施したコンクリート供試体を暴露試験している。
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飛来塩分測定装置
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1日目最後の見学場所は、新名立大橋。

新名立大橋の概要
 ・竣工平成13年
 ・PC単純ポストテンションバイプレ方式中空床板橋
 ・橋長 75.3m
 ・電気防食設備



塩害による劣化・損傷を抑制するために「電気防食工法」を用いて、橋梁の長寿命化を図っている。防食設備及び遠隔監視システムを見学した。
参考資料:遠隔監視システム(PDF)


天候にも恵まれ・・・、無事1日目の見学を終え、バスは一路、宿泊場所「くわどり湯ったり村」へ。
閑静な里山に開設された温泉施設。
新潟の美味しいお米、料理、そしてお酒を堪能し、楽しい懇親会が開かれた。

2日目の見学報告へ続く・・・。


東京コンクリート診断士会正会員 仲田昌弘


posted by 新東産業 at 10:51| 報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月02日

東京コンクリート診断士会第5回技術見学会報告 Vol.1

平成22年11月1日〜2日の2日間の日程で東京コンクリート診断士会主催第5回技術見学会が行われた。

【見学予定場所】
■1日(月)
新潟県内国道8号線名立大橋、弁天大橋、能生大橋
それぞれのコンクリートの塩害による変状状況と各種電気紡食施工状況
■2日(火)
東京電力柏崎刈羽原子力発電所
風の丘柏崎コレクションビレッジ風力発電
月夜野IC付近凍結防止剤による塩害状況


新宿駅西口をAM8:00に出発、一路新潟へ。総勢25名の好奇心の塊の技術人達が集合!
外は強い雨降りである。見学地の天気予報は、横殴りの雨模様の絵・・・。さてどんなことに???


道の駅(うみてらす名立)にて昼食、美味しいタイ飯とカニ汁をいただく。
到着時には薄日がさす穏やかな天候だったが、食事終了後に突如大荒れの雨模様に様変わり!!!大急ぎでバスに乗り込み、視察場所に移動。日本海の冬の天候は猫の目状態・・・。
名立大橋に着き、ご案内いただいた高田河川国道事務所の方々と合流すると雨はスーットあがってしまった。弁天島には見事な虹まで登場である。

  

1.弁天大橋電気防食設備
  橋名:弁天大橋
  型式:単純PCプレテンT桁橋
  竣工:1972年
  橋長:340m
  支間割:17@20.0m
  全幅員:11.353m

 電気防食設備
  第8径間
    施工年度:1995年
    方  式:チタンメッシュ方式(1)、チタングリッド方式(2)、亜鉛板方式(3)
  第12径間
    施工年度:2003年
    方  式:チタングリッド方式(4)

※方式についての詳細は、PDFファイルをご参照ください。

弁天大橋全容
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左:チタンメッシュ方式、中:チタングリッド方式、右:亜鉛板方式
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日本海(海塩粒子飛来)
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アルカリ骨材反応(黒姫山の火山岩を成分とする骨材が、
塩害との複合劣化でアルカリ骨反応をもたらす。)
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脱塩工法
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脱塩工法
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電気化学的脱塩の原理

電気化学的脱塩はデサリネーションとも呼ばれ、コンクリート中の鋼材を陰極とし、コンクリート構造物の外側を陽極として、直流電流を通電することにより、陰イオンである塩素イオンをコンクリート外へ電気永動し、さらに水の電気分解によって水素イオンを生成して、コンクリートのアルカリ度を高めることによって、鋼材に対するコンクリートの防食性能を高めるものである。

電気化学的脱塩を施工に先立って調査した塩分浸透量は、1.2kg/m3と鋼材発錆限界塩分量を大幅に超えていた。コンクリート単位表面積当たり通電量を1.0A±0.2A/m2とし、積算通電日数46日として、可溶性塩分・固定塩分ともに減少した。

※電気防食:「Think about コンクリート」2009/7/6〜21 コンクリート構造物の電気防食工法「エルガード工法」を掲載していますのでご参照下さい。(http://sts-concrete.seesaa.net/archives/200907-1.html


日本海の自然の驚異を感じるとともに、改めて海洋構造物の劣化対策の重要性を受け止めた。
バスの窓越しからの冬の日本海、自然の厳しさを垣間見ることができた。

次回は、能生大橋の掛け替え工事の現場からの報告をお伝えする予定である。(東京コンクリート診断士会正会員 仲田昌弘)
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2010年10月25日

「生コンの品質確保」その3

“大林組技術研究所 十河担当部長に聞く”
「耐久性優先の時代に」・・・から感じた事

 
生コンへの要求品質は、強度とスランプ優先から発注者や設計者の考え方が耐久性優先へと変わり、その耐久性能を明確にしなければならなくなった。

土木学会の示方書も耐久性の責任を明確になるよう設計照査が導入。
セメント、骨材、混和材料、水等の原材料の種類と水・セメント比の配合がわからなければ設計段階での耐久性を照査することができない。その要求が生コンの計量印字記録の提示につながっている。生コン生産者は、コンクリートの耐久性能確保の観点から、より詳細な情報を設計者や施工者に伝えなければならない状況にある。
 

“強度とスランプもコンクリートの性能ではあるが、それだけではコンクリートの耐久性能の要求は満たせない。そうした要求に対し、生コンは品質のバリエーションをもっと増やし、フレキシブルに対応してほしい。そういう意味でJISのメニューだけでいいのか?”と提言…
 

技術の進歩とともに生コンクリートに要求される性能は多岐に渡る。JISのメニューへの課題と生産者のJISさえ守ればいいという認識の低さは払拭しなければならない。
ゼネコンからは、顧客ニーズに対応する工場から購入したいとの要請がある。協組共販の生コン業界はどう対応すべきか?顧客のニーズをどう考えるのか?課題であろう。


ゼネコンが直接生コンを造らなくなってからかなりの年数を経て、ゼネコンで生コンを造れる人がほとんどいない状況にある。レディーミクストコンクリートが規格化され完全分業化された現在、購入者から頼りになる生コン工場になるべく切磋琢磨してほしいとの要請が挙がる。前述した“JISのメニュー”に縛られることなく、購入者とよく協議をし、現場にマッチしたコンクリートを納品する仕組みがあっても良いと思う。


“そろそろ現場検査をやらなくても生コンを買える仕組みにしていくべき。コンクリートの品質は練った段階でほぼ決まっており、それが適切に管理されているという証明ができれば、検査は不要だ。性善説で生コンを買いたい”

と筆者は最後を閉めている。



生コン生産者の倫理観、コンプライアンス等、高い意識の持ち合わせも必須であるが、現場での作業(生コン打設・養生など…)のレベルアップも当然必要、両者一体での意識改革がポイントであろう。耐久性を重要視し、消費者を保護することを優先して対処する心を持って“生コンクリートの品質確保と保証制度”を構築してはどうだろうか・・・


新東産業株式会社 仲田昌弘 日本リスクマネジメント協会正会員


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